ごま油、値上げ浸透急ぐ 原料高で上期大幅減益に かどや製油

かどや製油の佐野雅明取締役専務販売本部長は4-9月の販売概況について、「家庭用ごま油は7月の値上げ以降、物量はマイナスだが、少しずつ回復傾向にある」としたうえで、「物流費の上昇も続いており、条件を緩めるような状況にはない」と、下期以降も価格是正を継続する方針を示した。

上期のごま油事業は、売上高は0.3%増に対し、営業利益23.7%減。ごま原料高騰が直撃し、売上原価率が前期比5ポイントも悪化。販売管理費の圧縮に努めたものの原価上昇をカバーできず、大幅減益となった。

こうした現状を踏まえ、2月から業務用ごま油の値上げに続き、家庭用についても7月から販促条件の見直しに踏み切った。ごま油全体の売上高は輸出用の前買いもあり前年並みを確保したものの、家庭用・業務用の販売量は前年を下回った模様だ。

家庭用ごま油について、佐野専務は「4-9月の販売量は3%程度のマイナス。定番は安定しているが、値上げで200gや300gの販促機会が減少した。一方で400~600gの大容量PETは順調で、売上げ・利益の取れる商材として引き合いが増えている」と語った。

ごま原料の相場動向については、「トン1千600ドル超のピークから、足元では1千350ドル前後に2割ほど下がってきたが、その原料が日本に届くのは早くても来年後半。しばらくは高値原料を使用せざるを得ない状況にある」と説明した。

さらに前回6年前の値上げ以降、物流費等のインフラコストが上昇する一方、製品価格の転嫁は見送ってきたことを踏まえ、「あらゆる経費が上昇しており、(原料価格が多少軟化しても)容易に下げられる状況にはない」との考えを示した。

人手不足の影響は、トラック運賃の上昇だけでなく、港湾での荷役作業にも影響が出ているという。バルク輸送の大豆・菜種と違い、アフリカ原産の搾油ごまは50㎏袋単位のコンテナ手積みのため、日本での荷揚げ作業の負荷が大きく、特にコスト上昇が深刻化している。商社を通じてパレット積みや大型のバルクバック化を要請しているが、人手が豊富な現地では人件費のほうが安いため、機械化が難しいという。

「デフレからの脱却を」佐野専務

佐野専務は輸出品の値上げを例に挙げ、「アメリカはインフレが進んでいるので、売上げが増える値上げへの抵抗は少ない。日本はデフレで所得が増えず、設備投資もできないままでは、食品産業の持続的成長は難しい。人口減少が進み、地方では中小企業の廃業も増えている。当社も小豆島に工場を構えており、厳しい現状を実感している。あらゆる経費が上昇している中、値上げへの理解を求めていく必要がある」と述べ、危機感を示した。