ホップの健康価値提供へ合弁会社設立 キリンHDと電通

キリンホールディングスは、ビールの苦み成分としても知られるホップを原料とした独自素材「熟成ホップエキス」を用いたビジネスモデルの構築に注力する。10月15日付で電通との合弁会社「INHOP(インホップ)株式会社」を設立。新会社の活動を通じて健康課題をはじめとした社会課題の解決を目指す。

ビールの原料として1000年以上の歴史をもつホップには、睡眠改善作用や更年期障害改善作用、胃液の分泌増加作用、骨密度低下抑制作用などがあることが知られ、欧州では薬用ハーブとして古くから用いられてきた。キリンではホップの健康効果について2000年初頭から研究を進めており、「認知機能改善効果」と「体脂肪低減効果」という切り口で幅広い商品群に展開可能な独自素材「熟成ホップエキス」を開発した。

独自素材をもつキリンとブランディングに強みをもつ電通がタッグを組んだ新会社では、ホップのさまざまな魅力を共感する企業らと普及と価値向上に向けた取り組みを進める。当初は、認知機能低下の予防が期待される乳由来素材のβラクトンとともに食品や健康食品などの製造販売を行う考えだが、それにとどまらず将来的にはハウスホールド関連商品などへの利用も想定。また、素材としての外販も進める方針だ。23年には数億円規模の売上高を計画している。

インホップの社長に就任した金子裕司氏は「ホップの健康価値を提供できる商品を販売することに加え、ホップ関連商材を扱う他の事業者を巻き込みたい。キリンはもちろんだが、それ以外の企業とも協力関係をつくっていきたい」と意欲を述べた。

認知機能改善エビデンスを発表

キリンホールディングスの健康技術研究所はこのほど、「熟成ホップ由来苦味酸」が認知機能の1つである記憶想起力を改善することを世界で初めて見いだした。同研究成果は6月にベルギーで開かれた「ヨーロッパ醸造学会」で発表されたもの。

試験を通じ「熟成ホップ由来苦味酸」を摂取した群はプラセボ群と比べ、摂取6週目では記憶想起力や実行機能を評価する語流暢性試験の結果が有意に改善する結果が示唆された。また日常記憶チェックリストの物忘れ尺度を評価する質問紙でも、同素材の摂取群はプラセボ群よりも主観的な物忘れが改善されるという結果を確認した。

同社では、17年に東京大学とビール苦味成分である「イソα酸」のアルツハイマー病予防効果についてメカニズムを解明。18年には東大、神戸大学と共同で「熟成ホップ由来苦味酸」の認知機能改善効果を確認している。