縮小する国内飲食料市場 令和の時代、海外需要開拓に挑戦を

きょう1日、元号が「令和」に改まった。国内飲食料市場は、人口減や高齢化の進展による市場縮小が予想される一方、昨年末から今年にかけて相次いで発効した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や日EU経済連携協定(EPA)、さらには日米物品貿易協定(TAG)などに伴う輸入の増加で、これまでにも増して厳しい競争環境にさらされる見通し。「令和」は、海外市場に果敢に挑戦する姿勢が求められそうだ。

農林水産省政策研究所が3月に発表した「世界の飲食料市場規模の推計」によれば、国内の食料支出総額は2010年度を100とした場合、2030年には97となることが予想(農林水産政策研究所「人口減少局面における食料消費の将来推計」2014年6月)されている。

一方、世界人口の増加と食生活の変化により、世界の食料需要は増加する見込み。こうした状況を踏まえ、同統計では国内農業が継続的に発展していくためには、国内需要だけでなく、海外需要も獲得していくことが必要と指摘する。

2030年の世界の飲食料市場規模は推計1千360兆円。これは2015年(890億円)の1.5倍という規模。エリア別では、アジア800兆円、北米280兆円、ヨーロッパ240兆円、南米.オセアニア30兆円など。アジアは2015年比1.9倍という高い伸びとなっているほか、北米1.3倍、ヨーロッパ1.1倍と市場は拡大していく見通し。

他方、わが国の2018年の農林水産物・食品の輸出額は9千68億円。国内食品メーカーの海外展開もまだまだこれからだが、TPPやEPAは、国際的にも評価の高い国産農林水産物や食品輸出の好機でもある。

こうした取り組みを後押しすべく、ソフトバンクは4月、ITやAIを活用した日本食輸出支援プラットフォームを展開し、日本の生産者・食品(飲料・酒類含む)メーカーが簡単に世界に挑戦する場を提供する事業を本格始動させた(別記事)が、2019年の目標に掲げる1兆円を通過点とした輸出拡大に向けては、食品産業のさらなる海外展開の拡大や、グローバルフードバリューチェーンの構築に加え、今回のソフトバンクのような取り組みも求められる。