さば缶ブームの余波 輸入量、前年比3倍増 需要堅調も在庫消化が課題に

ブームとなったさば缶だが、やや様相が変わってきた。健康志向を追い風にさば・いわし缶など、青物缶詰の需要は依然堅調だが、昨年後半から輸入品が急増。品薄だった半年前とは一転して、供給過剰の懸念も出てきた。さばの水揚げシーズンを迎え、缶詰の生産も本格化するが、早期の店頭正常化が課題となっている。

昨年のさば缶ブームは異常な盛り上がりを見せた。さば水煮缶は急激な需要拡大に供給が追いつかず、昨年後半には店頭の品切れが相次いだ。

この間隙を縫って、タイや中国からの輸入品が急増。18年1~12月のさば輸入量は前年比59%増、過去最高の2万5千tを突破。統計データにはさば缶以外の調製品も含まれるが、その大半がさば缶と見られる。

今期もその勢いはさらに加速。今年1~7月のさば輸入量は3万5千t超、前年比332%。この7か月間で、昨年の輸入量を1万tも上回る異常事態となっている。

国産メーカーも増産を図り、さば水煮缶の1~3月の国内生産量は前年比50%増。半年前の品切れが嘘のように、春先には国内外各社のさば缶が潤沢に並び始めた。

店頭の販売状況はピーク時に比べるとさすがに落ち着いたものの、さば・いわし缶の需要は依然堅調。ただ、ここにきて一部でダブつきも見られ、供給過剰の懸念も出てきた。

輸入量急増の背景には、大手の海外生産拡大もあるが、それ以上に目立つのは、商社筋のインポーター品。日本のさばを現地で製品化し、多くはスポットでの導入だが、定番の供給不安が解消する中で、急増した輸入品の在庫が市場の波乱要因となっている。

おりしも、国産メーカーは急激な需要拡大と原料高騰で、さば缶は昨年2度の値上げを実施。主力の6号缶の店頭価格は200円台に上昇した。一方で、小型缶が主体の輸入品は100円台前半と安価だが、大量に積まれた在庫の消化が進まず、一部ではダブつきも見られる。

原料さばと水と塩だけで作られる、さば缶は「シンプルな製法だけに違いが分かりやすい」というように品質に対する消費者の目線は厳しい。メーカー関係者は「ブームをきっかけに、さば缶を食べた人がおいしいとファンになっていただくことが大事」と、玉石混交の様相となりつつある状況に警鐘を鳴らす。

原料さばの水揚げシーズンを迎え、さば缶の生産もこれから本格化するが、市場では早期の店頭正常化が課題。主力メーカー各社は下期も引き続き、さば・いわし缶を使ったアレンジメニューや、健康で身近な食材としての提案を強化し、市場の安定拡大を図っていく方針だ。