ブレない味で20年「小川珈琲店」 評価基準は格付ではなく味

小川珈琲は発売20周年を迎えた主力家庭用レギュラーコーヒー「小川珈琲店」シリーズを刷新・拡充した。

一番の刷新ポイントは、同シリーズのすべての原料を生産地とともにつくり上げる独自基準を満たした小川珈琲専用豆ARKにした点。

この小川珈琲専用豆ARKについて、藤村泰生取締役営業本部長は「農産物であるコーヒー豆は産地の気候などによって毎年作柄が変わり味わいに影響が出るという大前提の下、当社では味わいの維持を最優先して産地からサンプル調達した豆を有資格者による独自のTPAテストを行い、自分たちの求める基準に合うまでサンプルをやり取りして選定した豆」と説明する。

藤村泰生取締役営業本部長(小川珈琲)
藤村泰生取締役営業本部長(小川珈琲)

「小川珈琲店」が発売開始された20年前は、コーヒー相場が下落し大容量の価格競争が激化していた頃。「大容量でスペシャルブレンドやマイルドブレンドといった商品が主流だったが、消費者は果たして最後までおいしく飲まれているのかという疑問があった。そこで当社は小容量で、豆の産地や焙煎度合いをしっかり表に出してコーヒー好きの方に対応していけるようにした」と振り返る。

現在、パッケージには各産地の比率と焙煎度合いが記載されている。これについては「農産物であるコーヒーを同じ配合で焙煎してしまっては、味わいにバラツキが出るとのご指摘をいただいたこともあったが、当社の場合、豆の大きさや欠点豆の数による生産国の格付けではなく、味を評価基準にしているためブレない。ブラジルであれば、ブラジルの各エリアの豆をブレンドしてわれわれの基準に合うようにしている」という。

発売20周年を迎え刷新・拡充された「小川珈琲店」シリーズ
発売20周年を迎え刷新・拡充された「小川珈琲店」シリーズ

今回、20年前と比べカウンターコーヒーなどが出現しコーヒーに求められる品質も高まっていることから、すべての原料をARKにして再度、専門性を訴求していく。

シリーズ全体の多彩な味わいを表現するため、味覚のポジショニングマップを採用。同マップを策定の際、軽めのコクで酸味のきいたさわやかなポジションが空いていたことが判明したため、そこを補完するものとして新商品「ブリューワーズブレンド」(180g粉)を投入した。

「ブリューワーズブレンド」は浅煎りのARKグアテマラを中心にブレンドし「さわやかな甘さとまろやかな味わいが感じられるようにした」。

また、「ブルーマウンテンブレンド」(180g粉・豆)は、従来使用していたブルーマウンテン№1をARKブルーマウンテンに差し替えて刷新するとともに、ドリップコーヒー(5P)を新発売してラインアップを拡充した。小川珈琲ではブルーマウンテン地区に同社の専用区画を設置している。

販促施策は、同社商品が手薄な25~39歳男女の“コーヒー飲みはじめ世代”の獲得に向けて10月1日から11月30日にかけて「『小川珈琲店』は、粋な大人を学ぶ珈琲」と銘打った発売20周年キャンペーンを展開する。

同キャンペーンはWebでの懸賞応募で、SNSでの動画配信や店頭・直営店のポスター掲示で告知する。賞品に「大人の時間を楽しむ」カタログギフト5万円相当を用意している。

ドリップコーヒーと期間限定コーヒーが好調

小川珈琲の前期(8月期)の着地見通しは「計画値には及ばなかったが、小川珈琲単体が増収で、直営店を運営する小川珈琲クリエイツがリスタートしたため減収となった」。

好調な「春」「夏」「秋」「冬」の期間限定コーヒー(小川珈琲店)
好調な「春」「夏」「秋」「冬」の期間限定コーヒー(小川珈琲店)

この中で家庭用コーヒー事業は、ドリップコーヒーが2ケタ伸長し、レギュラーコーヒー(粉・豆)は微増。「春」「夏」「秋」「冬」を前面に押し出した期間限定コーヒー(180g粉)が好調を維持し、「小川珈琲店」シリーズが堅調となった。

ドリップコーヒーについては「市場が伸びているのは11P以上で、10P以下はあまり伸びていないが高質化が進んでいる」とみている。「ブルーマウンテンブレンド ドリップコーヒー」(5P)は1杯当たりの価格は高めだが、5P入りで売価を抑えている。

期間限定コーヒーの好調要因については「金や黒の配色のパッケージが多く、アイスでしか変化の出しにくい売場に四季の明るい色彩で変化を出せたことが大きい」と述べる。有機コーヒーは前期横ばいだったが、シェアは77%から80%に上昇したと推定される。

今後は「当社もSDGs宣言をしており、来年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けてエシカルが注目されるとみており、有機にも再度注力していく。今のところは社食やノベリティの業務用で有機の引き合いが強まっている。機能的な価値から情緒的な価値、加えて社会的な価値を意識した商品が増えていくと予想され、当社も強化していく」考えだ。