味の素 社会課題解決に「勝ち飯」 自治体、流通と連携し拡散

味の素グループは、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、社会・地域と共有する価値を創造することで成長につなげる取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と呼んでいる。社会課題にはシニア層の健康問題や、中高年男性の肥満と若年女性の痩せ、地域の食生活などが挙げられ、これらを事業活動を通じて解決。その一環でトップアスリートの栄養管理の観点から考えられた「勝ち飯」をASVと連動させ、一般の生活者にも提案。これを自治体と連携した営業活動として展開している。この取り組みを食品事業本部営業企画部営業政策グループの永井敦美シニアマネージャーに聞いた。

31都道府県で行政連携

「全国の自治体は、各エリアの社会課題解決や産業振興に力を入れており、これに“勝ち飯”がコラボすれば、自治体が売りたい食材を情報発信でき、地元の食材で栄養バランスがとれた献立により生活者の食卓はより豊かになる」と永井シニアマネージャー。イベント開催でも、「行政単独のイベント(例えば健康セミナー)では特定の人しか集まらない。しかも参加者は高齢者ばかりだが、“勝ち飯”とコラボすることで幅広く、地域に密着した情報発信ができる」と自治体とのコラボの利点を強調。しかも「活動がマスコミに取り上げられることで地域も活性化し、この枠組みを通じて流通との連携もでき、店頭で生活者に商品を提供できる」と指摘する。

永井敦美シニアマネージャー(味の素)
永井敦美シニアマネージャー(味の素)

同社は、ASV活動をステージを分けて取り組んでいる。「ステージ1」では、行政の窓口を訪問し課題を抽出。「ステージ2」は、行政と連携し施策を展開。「ステージ3」は、行政連携施策を流通で展開。そして「ステージ4」では、行政・流通連携施策をメディア誘致により広く生活者にアピールし、段階を踏むことでステップアップを図っている。

「イベントや講演会だけでは、出席者にしか情報が届かないが、この施策を流通で展開すればイベントをフックに店頭で“勝ち飯”フェアが展開でき、その場でレシピを提供すれば来店者に情報が届き、その様子が報道されればケタ違いの生活者にアピールできる」とし「より多くの行政、流通、メディアを巻き込むことがゴール」と言う。

滋賀めし弁当
滋賀めし弁当

管理栄養士対象のセミナーも

2018年度の営業部門のASV推進活動としては、11月に北海道味の素社が北海道150年記念事業に参画し、キャンペーンとしてスピードスケートの岡崎朋美さんを招きイベントを開催。また12月に大阪支社が「滋賀めし」フォーラムにおける「滋賀めし」×「勝ち飯」コラボ献立発表記者会見、長寿県を誇る滋賀でもコラボ献立発表記者会見を行った。

今年に入って1月には名古屋支社が、みえ国体千日前イベントで「みえ・勝ち飯」スペシャルトークショー&試食会を開催。ここには鈴木英敬知事や三重県観光大使の浅尾美和さんも来場した。5月には沖縄で沖縄味の素社の30周年、6月には長野県と包括連携協定を結んだため「信州・勝ち飯」を提案。「信州は食材の宝庫なので、ニュースの後で量販店各社から“勝ち飯”をしたいとの問い合わせが殺到した」という。

その結果、18年度は全国31都道府県でさまざまな取り組みを実施。件数では536件、メディアを介した到達人数は約1千万人に及んだ。また、昨年度からは管理栄養士を対象にしたセミナーも各支社で実施。「全国で43の栄養士会にリーチし、受講栄養士は1千300人に達した」。そして「19年度は、各支社から出たものを加算すると38都道府県に増える」とさらなる広がりを期待している。

「勝ち飯」を通じてスポーツ支援も行っている。同社はJOC(日本オリンピック委員会)とパートナーシップを締結し、選手の国際大会における競技力向上のためコンディショニングサポートプラグラム「勝ち飯」を展開。東京2020でもオフィシャルパートナーシップ契約を結んでいる。

ここでの「勝ち飯」は、「何を食べるかではなく、何のために食べるかを考えながらカラダづくりに励む」ことを目指し、主食、主菜、副菜、汁物、牛乳・乳製品を五輪の輪として提案。「アスリートの栄養プログラムを生活者の栄養バランスご飯として提案できれば、頑張る人の力になれる」とし、受験生や部活生、ジュニアアスリート、若年女性、シニア世代に向けて訴求している。

滋賀県は、このほど味の素社とコラボし、健康長寿日本一の滋賀県の食材をふんだんに使い、栄養バランスがよい滋賀めし弁当「夏の滋賀めし!冷製ミネストローネと洋風あめのいおご飯のサラダ茶漬け・powered by勝ち飯」を都内の滋賀県情報発信拠点「ここ滋賀」で16日まで限定発売している。弁当には滋賀県産食材を使い、塩分を増やさず野菜摂取量を増やすことを条件に味の素の「コンソメ」「香味ペースト」を使って開発した。

東京・新宿区で行われた“勝ち飯”講演会
東京・新宿区で行われた“勝ち飯”講演会

東京・新宿区は9月を「野菜大好き月間」と銘打ちさまざまなイベントを行っているが、7日に味の素社の営業企画部営業政策グループの永井シニアマネージャーを講師に迎え、親子を含めた区内在住者約30人に「日本代表選手のコンディショニングと野菜摂取の大切さ~味の素社のスポーツ支援と“勝ち飯”~」をテーマに講演した。

フィギュアスケートの羽生結弦選手や水泳の瀬戸大也選手などさまざまな競技のトップアスリートの事例を用いて、栄養摂取の大切さやポイントを説明。その知見を凝縮し、主食、主菜、副菜、汁物、牛乳・乳製品によるバランスのとれた「勝ち飯」を提案した。