スムージーで日本市場攻略へ「5年間は重要な投資期間」 英イノセントのトップ語る

1999年に英国で創業したヘルシードリンクメーカーのイノセントは、旗艦のスムージーブランド「イノセント」で欧州のチルド飲料市場を席巻。その立役者の一人とされるのが、06年にイノセントに入社し13年から現職のダグラス・ラモントCEOだ。

日本では7月9日に「イノセント」3品を都内の一部エリアで発売開始し全国展開を視野にスモールスタートした。

8月13日、イノセントジャパン合同会社で取材に応じたラモントCEOは「今後、5年間は、日本のドリンカー(消費者)の皆さまと良好な関係構築のためにコミットする期間であり重要な投資期間だと考えている」と語った。

13年の現職就任以降、ラモントCEOは販売エリアの拡大に腐心。「みんなが健康で長く生きられることを志向し、品質だけではなくドリンカーや従業員も大切にしつつ、利益の10%を栄養失調や飢餓に苦しむ子供たちの支援に向けて寄付するといった会社の哲学に惹かれて入社した。CEO就任後はその哲学を守りつつ、輸出を西ヨーロッパに急拡大し販売エリアを就任前の2倍に広げていった」という。

このことが大きく寄与して入社時3000万ポンド(約38億円)だった売上規模は現在、その10倍の約4億ポンド(約513億円)へと拡大。「イノセント」をヨーロッパNo.1のスムージーブランドへと押し上げていった。

「進出国では1年で成功したところもあれば、商品の定着までに5年、もしくはそれ以上かかったとこもあった」と振り返る。

7月の商品発売以降、イノセントジャパン合同会社(東京都渋谷区)に寄せられたドリンカーからの手紙
7月の商品発売以降、イノセントジャパン合同会社(東京都渋谷区)に寄せられたドリンカーからの手紙

日本については「ドリンカーに品質や楽しさを啓発していく必要があるため忍耐強くやる。楽しさなどの感じ方は文化によって異なるが、ファンになってもらうのはどの国でもできること。リスクをとってもイノベーションを起こす会社であることをアピールしていく」との考えを明らかにした。

長期的な視点では100%株主であるコカ・コーラ社のサポートも重視する。「基盤づくりはあくまで当社で行っている。コカ・コーラ社にはそのことを判断してもらい、10年、15年の先を見据えてサポートしていただいている。長期的な成長という点ではコカ・コーラ社のサポートはとても重要だと考えている」。

日本での直近の状況について、イノセントジャパン合同会社の内野正仁代表は「10人以上のドリンカーが当社に遊びに来てくださり、バナナフォン(雑談だけでも可能な電話相談窓口)もよく鳴り恋愛相談もあった。SNSでも多くのメッセージをいただいている」と説明。今後は交通広告投下を予定している。

原料調達はイギリス本社で一括して行っている。フルーツごとに設けられた担当者(20~30人)が世界30か国の中から旬の時期に安定的に確保し、日本には欧州の拠点に集積された原料を輸出している。日本では協力工場が充填・製造している。

オフィスで働く社員の様子(イノセントジャパン合同会社)
オフィスで働く社員の様子(イノセントジャパン合同会社)

原材料は、ドリンカーの健康面以外に労働環境や地球環境にも配慮して、持続可能な生産を重視し、SAI Platformなどの基準を満たす契約農家から調達している。この中でバナナはレインフォレスト・アライアンス認証農園のバナナを使用している。

ラモントCEOは、エジンバラ大卒業後、ハーバードビジネススクールに学び、投資銀行のKPMGコーポレート・ファイナンスとスタートアップ企業のフリーサーブ(現オレンジ・ブロードバンド)のキャリアを経て、イノセントに入社。

入社後はイノベーションチーム、次いでマーケティングチームに配属され旗艦のスムージー商品以外にジュース、アーモンドミルク、スパークリングウォーターなどの発売を手掛けた。ヨーロッパでは現在75品目をラインアップしている。

「入社するまでマーケティングなどの知識は皆無だったが、イノセントへの愛と仕事を通じて学んだ。創業者も直感や信頼を大事にしている。私も創業者の信頼があったからこそさまざまな手法を面白い形で行うことができた。私も人を信じること、若い人のポテンシャルを信じることを信条にしている」(ラモントCEO)。