コカ・コーラの新領域戦略とは アルコール、チルドなど開拓余地7兆円

新中計「THE ROUTE to 2024」策定

コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)は、ザ・コカ・コーラカンパニー(TCCC)の日本法人である日本コカ・コーラの経営陣と連携して19-24年の新中期計画「THE ROUTE to 2024」を策定した。今後5年間でコスト削減と成長に向けた投資を行い、数量・金額シェアの成長と24年に事業利益率5~6%を目指していく。

19年12月期連結業績予想は、のれんの減損損失619億円を第2四半期に計上したことで特に営業利益率が17年に策定した中計から大幅未達となる見込み。

これを受け、8日に都内で新中計を発表したカリン・ドラガン社長は「これまでのやり方を続ける選択肢はない。今後3~5年間はリセットと変革に取り組み、これを出発点とし、将来に向けてイノベーションと業界最高水準のオペレーションでリーダーになれるような道筋を立てている」と語った。

和佐高志氏(日本コカ・コーラ)

新中計では

①製品と成長戦略
②コスト削減とインフラ整備
③戦略実行の基盤づくり

――の3つ重点分野に掲げる。

成長戦略は、TCCCのリードで既存領域と新領域の両方でブランドポートフォリオの強化とイノベーションを行っていく。

ビヨン・ウルゲネス副社長CFO(コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス)
ビヨン・ウルゲネス副社長CFO(コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス)

TCCC側として同席した日本コカ・コーラの和佐高志最高マーケティング責任者は、既存領域であるRTD(パッケージ飲料)の市場規模が約5兆円に上ると指摘した上で「アルコール、チルド、非RTDのコーヒーなどのホワイトスペース(新領域)の市場規模はRTD市場よりも大きい約7兆円もあり、ホワイトスペースにさらにどう参入していくかについてCCBJHと現在詰めている」と述べた。

新領域参入は、連携も視野に迅速さを心掛けて実行していく。

「参入する際、既存のRTDに近しいものはコカ・コーラシステム内で完結させたほうがスピーディーに進む。一方、RTDに近しくないものは別会社を立てたりする。アジリティ(機敏さ)を持って動くことが大切で、プランニングから製品の全国発売に至るまで早いものでは1、2年のスパンで動かしていきたい」という。

システム内で完結して新規参入した事例としては「檸檬堂」と「コカ・コーラ エナジー」がある。

「檸檬堂」3品は18年5月に九州限定で発売開始され、3品のうち「定番レモン」は昨年、九州での缶チューハイカテゴリーで金額シェアNo.1を獲得した。現在は「これからナショナル(全国展開)をどうするか検討している」。

「コカ・コーラ エナジー」は、「リアルゴールド」といった広義のエナジードリンクではなく、「レッドブル」や「モンスター」といった強化型エナジードリンク市場への参入を目指したもので、7月1日に発売開始してから5週間で2千万本(80万ケース強)を突破した。

別会社の事例では、18年9月に設立されたイノセントジャパン合同会社と、今年7月に設立された合同会社Endian(エンディアン)の2社が挙げられる。

コカ・コーラ社は12年にイノセント(英国)を100%子会社化し「世界的にもコカ・コーラ社と別会社でオペレーションしている」。イノセントジャパンは今年7月からチルドのスムージー3品を都内の一部エリアで発売している。

エンディアンは日本コカ・コーラとI-ne(アイエヌイー)が設立した合同会社で、今秋からリラクゼーションドリンク「CHILLOUT(チルアウト)」の販売を I-neから継承。同時に、 I-neと日本コカ・コーラの持つ商品企画・販売・マーケティングのリソースを活かし新しい価値の創造を目指していく。

既存領域であるRTDの課題については「われわれが強いチャネルの自販機からの流出が大きい。加えてわれわれは炭酸飲料とコーヒーのシェアが高いが、市場ではわれわれのシェアの高くない、お茶、炭酸水を含む水のカテゴリーが伸びてきている。『ジョージア』は自販機要因に加えて、イノベーションで少し後追いになってしまったのは否めない。ただ手をこまねいていたわけではなく、シェアの低かった水・お茶カテゴリーで『綾鷹』と『い・ろ・は・す』が拡大している」との見方を示した。

今後は「強みを本当の強みにしていく」との考えの下、「コカ・コーラ」「ファンタ」「スプライト」「カナダドライ」の炭酸飲料を強化するとともに「水・お茶・炭酸水・エナジーカテゴリーでもっと強固なイノベーションプログラムを実行していく」。

自販機事業については「成長とコスト削減の両方を実現する上で重要な取り組みの一つ」(カリン・ドラガン社長)と位置付け抜本的な改革に取り組む。

自販機の成長戦略では、他社・外部オペレーターとの提携・協業も視野にコラム数を増加し、自販機専用商品や「Coke ON」を活用し1台当たり販売数量を増やしていく。

コスト削減は、自販機のオペレーション改革・物流ネットワークの最適化・バックオフィス業務の標準化などを行い17-24年で350億円を削減する。

20-24年の累積設備投資見込額は約3千500億円。投資の優先順についてビヨン・ウルゲネス副社長CFOは「最初はサプライチェーンへの投資が必要。次に自販機、さらに時間を経てメンテナンス。16のさまざまな工場が老朽化している。投資の40%は純増分となり、つまり製造能力を高めるためにラインの新設・交換、倉庫の新設などに充てられる」と説明した。