気候変動に適応するコーヒー キーコーヒー、新品種・新農法で挑む

気温上昇がコーヒーに悪影響

地球温暖化で気候変動が続くと2050年にはアラビカ種の栽培適地が現在の50%にまで減少する――。このコーヒーの2050年問題について、キーコーヒーの川股一雄取締役副社長執行役員は、環境省と国立環境研究所が2日に共催したシンポジウムで、コーヒー産地の現況と同社が進めている取り組みについて講演した。

おいしいコーヒーは、年間で夏の軽井沢のような気候の標高1000~1500mでつくられると触れた上で、気温上昇がコーヒーの栽培にかなりの悪影響を与えることを指摘した。

国立環境研究所気候変動適応センター気候変動適応戦略研究室の岡和孝主任研究員㊧と川股一雄副社長(キーコーヒー)
国立環境研究所気候変動適応センター気候変動適応戦略研究室の岡和孝主任研究員㊧と川股一雄副社長(キーコーヒー)

「米、小麦、大豆、綿花などは平均気温が1~3℃の幅で上昇すると『二酸化炭素施肥効果』で食料生産能力は増加されるが、コーヒーの場合は

①雨季と乾季の境目がなくなる
②昼夜の寒暖差の減少
③サビ病など病気の発生

で収穫量が減少し品質が低下する」と語った。

12年には中南米で突然変異したサビ病が蔓延し大減産。これを受け15年のミラノ万博では冒頭の2050年問題が提唱され、気候変動への適応策と緩和策の取り組みが重要視されるようになった。

キーコーヒーは16年4月に国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)との協業を開始し、インドネシアにある直営パダマラン農園の一角を実験圃場として提供している。

ここでは、コロンビアやパナマなど世界各地を原産とする42種のコーヒーの苗木が植えられIMLVTと呼ばれる活動が行われている。

IMLVTとはインターナショナル・マルチロケーション・バラエティ・トライアル(国際品種栽培試験)の略で、世界各地の品種の中から気候変動に耐えベストパフォーマンスを発揮する品種を探すプロジェクトを意味する。

IMLVTの進捗状況について「昨秋にはコーヒーの花が咲いたものがあれば、サビ病にかかったものもあった。これから、降雨量の増加に対して根の発達をどうやって防ぐかという適応試験などの結果が出てくる。4年目にカップクオリティのチェックができるところまできている」と説明した。

課題はインドネシア国内での研究の担い手の確保や予算の捻出。これらを克服し「30年までに環境に適応した栽培方法を確立する。新しい品種の栽培試験や香味試験を終わらせて生産者を支援していきたい」という。

直営農園周辺の協力農家でも試験を実施し今年で7年目を迎える。今後は、これらの協力農家のほか、気候が比較的近いとされる東ティモールやニューギニア島へのノウハウや技術の提供も視野に入れる。

先立って講演した国立環境研究所の岡和孝氏は、日本国内の気候変動の実態について次の通り列挙した。

――年平均気温は100年あたり約1.21℃の割合で上昇。

――猛暑日は10年あたり0.2日増加。

――熱帯夜は10年あたり1.7日増加。

――滝のように降る雨(50mm/時以上)の年間発生回数は10年あたり27.5回増加。

同シンポジウムは「幅広い方にさまざまな分野の気候変動適応を知ってもらうのが狙い」(岡氏)とし、民間事業者としてはキーコーヒーのほか東京地下鉄と日清製粉が講演した。