伊藤園 新俳句大賞 “お~いお茶”支えた30年 俳句のユネスコ登録支援へ

1989年(平成元年)から始まった伊藤園が主催する「お~いお茶 新俳句大賞」が今年で30回目を迎えた。季語にとらわれない、自分で創作した新俳句が商品パッケージに印刷されて店頭に並ぶというユニークな企画が幅広い世代に支持され、まさに緑茶飲料「お~いお茶」の成長を支えてきた。

「お~いお茶は今年で発売30周年を迎え、30回目の新俳句大賞とともに平成の時代に歩んできた」と、このほど開かれた新俳句大賞の表彰式で本庄大介社長(執行役員)は語る。第1回の新俳句応募数は約4万句だったが、現在では約200万句の応募を集める日本一の俳句創作コンテストに拡大。「サラリーマン川柳など様々な賞と比べても、いかに規模が大きいかが分かる」とし、「お~いお茶」の販売量(初年度216万ケース、前期9千20万ケース)とともに成長してきたと振り返った。

伊藤園は1985年(昭和60年)に世界で初めて緑茶の飲料化に成功し、「缶入り煎茶(緑茶)」を発売。その後1989年(平成元年)に「煎茶」から「お~いお茶」への名称変更を機に「お~いお茶 新俳句大賞」を創設。当時は松尾芭蕉が「奥の細道」紀行300周年に当たるなど、伝統的な短詩形文学への関心が高まりつつあったが、作者自身が発表する機会はほとんどなく、これが商品パッケージに自分が作った句が載るという伊藤園の企画にぴったりはまった。

新俳句大賞の企画段階からかかわり、第1回から審査員として大賞を支えてきた俳人の金子兜太氏(昨年永眠、今年から金子兜太賞新設)。本庄社長は「30年前に新俳句大賞を開始するに際に、大先輩である当社の米内貞弘さんや橋爪清さんが金子先生に新俳句の趣旨をお伝えし、先生には快く引き受けてもらったものと聞いている」と新俳句大賞開設当時の経緯を説明。その金子氏も生前、「(新俳句により)日本人に馴染みのある形式で表現できる場を提供したことで、潜在的に持っていた文化感覚を掘り起こし、その広がりが応募数に表れている」と指摘していた。

「お~いお茶に印刷された新俳句は、今やあっても気づかないほど浸透し、デザインの一つになっている」と志田光正マーケティング本部長。だが「商品とともに新俳句でも30年間積み上げてきた歩みを財産にしながら次の一歩を歩む」とし、今年から俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会の活動への協力や、大賞に画像を活用した新たなテーマの部門を開設。中でもユネスコ活動への協力は、日本文化としての新俳句を海外にも知ってもらうきっかけになり、世界のティーカンパニーを目指す伊藤園ならではの展開と言える。

第30回「お~いお茶 新俳句大賞」の表彰式が3日に開催され、過去最多の応募となった199万5千869句の中から最高位賞である文部科学大臣賞に長崎県・田中龍太さん(27歳)の作品「猫の載る ヘルスメーター 文化の日」が選ばれ、文科省の伊藤明子民間教育事業振興室長から賞状、本庄社長から賞金が贈られた。