海洋プラ問題 たばこフィルター対策など急務 専門家ら問題点を整理

プラスチックの中で、とりわけ海洋中の生態系に及ぼす影響が懸念されているのは5mm以下のマイクロプラスチック。

マイクロプラは、海辺に漂着したプラ容器などが紫外線や昼夜の温度差で劣化して破砕されてできたものとされるが「どのくらいの時間がかかり、またどの程度細かくなるかは分からない。細かくなったものの採取方法が確立されておらず観測の限界」と指摘するのは九州大学応用力学研究所大気海洋環境研究センター海洋力学分野の磯辺篤彦教授。

磯辺教授は、当面の対策として、マイクロプラになりやすい発泡スチロールの屋外での使用禁止を呼びかける。

6月25日、全国清涼飲料連合会と食品容器環境美化協会は都内で「第3回海洋プラスチック問題勉強会」を共催、磯辺教授を含む専門家らを招きさまざまな角度から海洋プラ問題の問題点や対策などが語られた。

磯辺教授は、海外の論文を引き、世界の海洋プラごみの65%が東アジアと東南アジアの北西太平洋が占めていることにも言及。

JennaR. Jambecketal. (2015)の調べによると、国別海洋投棄プラ重量の上位国は(1)中国、(2)インドネシア、(3)フィリピン、(4)ベトナム、(5)スリランカ、(6)タイ、(7)エジプト、(8)マレーシア、(9)ナイジェリア、(10)バングラディシュの順となっている。

周辺諸国からの投棄量が多いことから、神戸大学の石川雅紀名誉教授は海洋プラごみの有効策として、周辺諸国への廃棄物管理のノウハウとシステムの提供を提唱する。

「量を減らすのであれば、既に減らしている日本でさらに減らすよりも、日本の周りで桁違いに流出させていると思われる国々に廃棄物処理がきちんとできるように協力するのが費用対効果が一番高いと思う」との考えを示す。

国内においては、沿岸の清掃活動が有効だとしつつ「ボランティアでは限界があり10万tの回収レベルには至らないため、制度的にやるしかない」と主張する。

また、佐藤泉弁護士もEUの事例と比較し制度の不備を指摘。「日本の容器包装リサイクル法は市町村に義務化しておらず、取り組むほど市町村の負担が重たくなる」と語る。

石川教授は、マイクロプラ対策としては直接流出する恐れの高い、たばこのフィルターやマイクロビーズへの対策が急務だとした。タイヤがすり減ってできるタイヤ粉塵についても「公害としては知られているが、海に流れていることは重要視されておらず対策がとられていない」と警鐘を鳴らす。

産業技術総合研究所環境管理研究部資源精製化学研究グループの加茂徹上級主任研究員はバイオマスプラスチックについて「海洋プラごみ対策に御利益があるわけではない。あくまでCO2排出削減として効果があり、それ以上でもそれ以下でもない」と述べる。