備蓄需要強まり非常食多様化 アレルギー対応は当たり前 ハラールや介護食も

昨年の西日本豪雨や大阪を襲った台風、各地で頻発する地震など、自然災害がもたらす被害が深刻化するとともに、防災への意識は強まり、学校や官公庁にとどまらず、一般企業や家庭での備蓄需要も拡大している。

こうした動きに対し、非常食を扱うメーカーは食物アレルギーや高齢者の咀嚼、さらにはハラールなどに対応した開発に注力し、商品は多様化している。今月初め、大阪市で開かれた震災対策技術展でも多くの非常食が並んだ。

アルファフーズ(東京都)は魚の煮付やシチューなど、食物アレルギー特定原材料等27品目不使用の防災食をシリーズ化している。これらの商品を強化するきっかけとなったのが、16年の熊本地震だ。被災地へは次々と救援物資が届いたが、その中にアレルギーを持つ子供が口にできるものは少なかった。また、それらを選別するのに多くの時間を要した。

こうした被災地の実情を踏まえ商品を開発。「各市町村でも、アレルギーに対応した食品を備蓄しようという動きが強まっている」(吉岡慎司広報部長)。

また、「高齢者施設で利用できる保存食が少ない」という声を受け、このほどスマイルケア食(介護食)を商品化。“歯ぐきでつぶせる”段階の煮物2品を発売した。さらにハラール認証を所得した筑前煮やトマト煮も揃え、「東京五輪を前に需要が高まっている」(同)という。

SN食品(大阪市)が学校での備蓄用に販売するカレーも、27品目不使用のアレルギー対応食品だ。発売から5年半で累計100万食を販売した。非常時だけでなく給食でも定期的に利用を促し、ローリングストックを推進している。給食室が停電や工事で使用できない時に使われることもある。「普段から食べ慣れておくと、非常の際にも安心して口にすることができる」(関西支店・井上喜淑支店長)。

このほか、年配者にも好まれる和風の食品を広げようと発売した根菜汁は、野菜が補える点や汁物が欲しいというニーズをとらえ、高齢者施設などへ販路を広げている。来年初めには五目御飯の発売を予定する。

缶入りのスイーツが好評のトーヨーフーズ(東京都)。最初に150gのチーズケーキやガトーショコラなどを商品化し、その後、60gのミニサイズを加えた。当初は栄養不足になりがちな被災時のことを考え、カロリーを重視した大きめのものを発売したが、ローリングストックの習慣が広がるにつれ、会社のデスクなどでも保管しやすいミニサイズの支持も強まった。現在はミニサイズが6割を占める。

熊本地震の際には被災地へ寄付し「子供からお年寄りまで、甘いものを食べてほっとしたという声をいただいた」(同社)という。その後、九州地区での売上げが伸びた。

近鉄百貨店は通常のギフトなどで取引のある法人へ向け、災害用商品の提案を強化している。「営業担当者が防災士の資格を得ており、より深く顧客のニーズを聞いて対応できる」(法人外商本部)。多様な商品を扱う百貨店の強みを生かし、保存食だけでなく非食品を含めた備蓄用のセットなども提案する。