食文化継承は微生物から

全国にはその土地に根差した食材がある。それだけでなく、微生物にも地域色があるという話を和食のシンポジウムで聞いた。

▼食文化は自然風土に大きく影響する。山あり谷ありの狭い日本では十分な食料を得るのは容易でなく、取れた時には後生大事に保存しなければならない。そのことが和食を特徴づける発酵技術を生んだ。そして、発酵に欠かせない微生物も土地の環境に適応している。

▼その会合では、こうした地方の風景が画一的なものになりつつあるという指摘が聞かれた。どの街にも大きなショッピングセンターがあり、流通しているのも同じような商品。古来の良いものが失われていくのではないかという危機感だ。

▼地域メーカーの社長がこぼしていた。「適正価格で売ってもらうためには地元以外に販路を求めるしかない」。大型店だけではなく、地方の食を担うべき地域スーパーも再編の波に飲み込まれている。看板は何とか昔のものを維持しても、仕入れにはバイイングパワーを発揮し、それが地域メーカーを疲弊させている。風土に築かれ、微生物にまで浸透した食文化を伝承するのは容易なことではない。