チリ産豚肉 対日輸出に重点 関係者招きセミナー

チリポーク(チリ食肉輸出協会)は5月21日、都内でセミナーを開催。主に小売や外食などの関係者を招き、チリ豚肉産業の近況や世界の豚肉市場について報告を行った。

あいさつしたホアン・カルロス・ドミンゲス会長は「チリ産豚肉の日本への輸出は1998年から続いており、両国間で確固たる関係を築いていることを誇りに思う。チリの豚肉産業は『ボーン・トゥ・エクスポート』とも表現されるほど輸出志向が高いのが特徴。周囲と隔絶された自然環境を持つチリは天然資源の保護に適しており、豚肉の生産についても同様である」と強調した。

ドミンゲス氏によれば、近年は生産量が安定的に推移する中、輸出量は大幅に拡大しており、現在の輸出量は生産量の約65%に達しているという。業界では豚肉事業のインテグレーション化が進んでおり、飼料供給からマーケティングに至るまでの一貫したバリューチェーンを確立。コスト競争力のある製品の提供が可能になっているという。

輸出に関してはアジアの需要開拓を進める中でもとりわけ日本と韓国の市場を重視しており、今後も優先的に供給いく方針を示した。

疾病と貿易摩擦 国際市場に暗雲

ブレット・スチュワート社長(グローバル・アグリトレンズ)
ブレット・スチュワート社長(グローバル・アグリトレンズ)

またこの日は米国のグローバル・アグリトレンズ社からブレット・スチュワート社長も出席し、世界の豚肉市場の動向を解説。中国におけるアフリカ豚コレラの蔓延と激化する米中の貿易摩擦が、国際的な需給に及ぼす影響の深刻さを指摘した。

アフリカ豚コレラはワクチンがなく、95%と高い致死率で恐れられる豚の伝染病。中国の養豚頭数は世界の半分を占め、世界のたんぱく源の20%に当たる。疾病蔓延で農村部では母豚の数が19%(930万頭)減少。これは北米の全母豚数を上回り、今年は30%以上の生産減少が予測されるという。豚肉のみならず、代替となる家禽肉や牛肉の国際価格も上昇する見込み。

中国の生産減少を穴埋めすることは事実上不可能であることから、国内の需給はひっ迫。この状況下にあって米国への報復関税措置を強める中国政府が、米国産豚肉への関税を50%まで引き上げるかが今後の焦点になるという。

今後、国際的にも豚肉の獲得競争は激化が見込まれ、サプライヤーとの関係が極めて重要になるとの見方をスチュワート氏は示した。