國分勘兵衛 平成を語る〈5〉 小売チャネルの変遷②

岐路に立つ地方店舗 ライフライン存続へ議論を

――平成12年〈2000〉年にアマゾンの日本版サイトがスタートし、日本でもECが浸透しました。しかし、経済産業省の調査によると、食品・飲料・酒類のEC化率は平成29年〈2017〉時点で2.41%と依然低調です。今後はどうでしょうか。

加工度が高くて日持ちする常温食品については、徐々に広がると思います。問題は日本人が好む生鮮食品や惣菜の購買チャネルがどう変化するかです。食品スーパーをはじめリアル店舗の強い分野ですが、今後は過疎化の中でリアル店舗が減っていく可能性もあります。ECの活用を含め、地域のライフラインをどのようにつないでいくかがとても重要な課題になるでしょう。

――仰る通り、地方の小売業は岐路に立たされています。

ローカルスーパーの方々は本当に大変だと思います。人手不足でコストが上がっているのに、価格への転嫁が進まず、売上げの維持も難しくなっています。売上げ規模の縮小ととともに、店に商品を届ける納入業者が減っていく恐れもあります。しかし、どんなに人口が減っても、そこで暮らし続ける人はいるわけですから、食のライフラインを寸断させることはできません。

――解決の方向は。

私たち卸にできることは、ここ数年加速している同業者との共同配送をさらに進めていくことでしょう。帳合の異なる様々な商品を混載で運ぶことで、損益分岐点が下がり、過疎地の店舗に対しても継続的に供給できる可能性があります。また、先ほどのECに加え、移動販売でリアル店舗を補完するケースもますます増えていくと思います。ただし、そこにもやはりコストがかかるので、採算性と持続可能性への配慮が必要です。

――今後は物価の安い地方ほど流通コストが上がっていく恐れがあります。このアンマッチの解消は難しそうですね。

だからこそ地方の所得向上を真剣に考える必要があります。また、今後は行政による(ライフラインを担う店舗に対する)保護のあり方なども活発に議論すべきでしょうね。

――労働需給の逼迫を背景にコンビニの24時間営業に厳しい目が向けられています。この平成最後の流通問題をどうお考えですか。

コンビニは生活者のライフスタイルに合わせて、商品・サービスを常に進化させてきました。きっと、今回のような難しいテーマについても、将来を見越した新しい仕組み、新しいお店で対応してくると思います。最近はキャッシュレス化やITの活用、無人店舗をはじめ、人手不足をカバーする新たなフォーマットの研究も進んでいますよね。多様化と社会環境の変化に合わせ、皆さん、知恵を使って新しい個店対応の仕組みを作られるのではないでしょうか。

――食品の製配販三層には平成10年代の就職氷河期に入社した優秀な人材が揃っています。デジタルネイティブの彼らが人口減少時代に適した新たな流通像を作り上げていくのかもしれません。

そうですね。AI・IoTといった最先端技術を駆使して。

(第1部了。5月13日付より第2部を掲載します)