海苔、46年ぶり大凶作確定 最終60億枚前半の予想 業界に衝撃走る

今年度の海苔共販(2018年11月~2019年4月)も3月末を過ぎて最終盤に入った。現在(3月27日時点)の共販枚数は約58億4千400万枚で前年比15%減、平均単価は約6.8%高の13円21銭で推移している。不作スタートの今漁期は最終予想もどんどん水準を下げて、現在は62~63億枚の着地見込み。昭和47年度の約61億枚に匹敵する大凶作が確実となっている。

共販は4月末頃まで続くが、マイナスを挽回する量は見込めず春の訪れも早いことから全国の生産浜が終漁に向かっている。そもそも漁期スタートから暖冬による高水温と栄養塩不足の環境であり、加えて東北の有力産地・宮城県ではタンカーのオイル漏れ事故もあり、これだけでマイナス1億枚の被害。各生産県でも多少の好不調は混在するが、単県のプラス着地はほぼない。ナンバー1生産量の佐賀も健闘したが前年比92%とプラス圏には届いていない。

当然ながら各海苔企業の仕入れ計画も狂わされている。計画100%を仕入れることができた企業はほとんどなく、輸入海苔(韓国産、中国産)に向けられる視線はより強まっていくだろう。国内の海苔需要は約80億枚(2017年食品新聞推計)だが、既に不足分は輸入海苔(約30億枚・IQ総枠)で補ってきた。しかし、主体は国産海苔。その国産海苔の相場は4年連続高騰で値上げや減量を行い、昨年度はようやく落ち着いたと思ったら今年度は大凶作という流れだ。経営体力も戻らない中で、再び原料相場が上昇するショックは大きい。

また、相場傾向は折り返し点を過ぎた後半に過熱してきている。そのため平均単価は相変わらず高止まりを続け、まだ共販は終わっていないが取引先に値上げの打診を始める海苔メーカーも出ている。値上げに関しては昨今の食品値上げと同じく、人手不足による運賃・人件費などの高騰も含めて総合的に判断することになるだろう。とにかく約62億枚(予想)という最終生産量の少なさは今後の海苔経営にとってさまざまな面で衝撃を与えるもの。もちろん海苔ユーザーの視線も厳しくなり広く海苔需要にも影響を与えるかもしれない。