食品ロス削減へ官民一体の取り組み加速 賞味期限、1/3ルールにもメス

超党派の議員連盟による「食品ロスの削減の推進に関する法律案(食品ロス削減推進法案)」が今国会で成立する見通しとなっている。

年間約646万t(平成27年度推計)とされる国内の食品ロスの削減に向け国民運動として展開する狙い。こうした動きに呼応するように、農水省は賞味期限年月表示への取り組み拡大に向けた動きを見せる一方、小売大手のヤオコーは4月から、専用センターでのドライグロサリー(コメをのぞく)の入荷許容期限の緩和を明らかにするなど、食品ロス削減に向けた官民の取り組みが加速してきた。

「食品ロス」とは“本来食べられるのに捨てられる食品”。646万tの内訳は、事業系廃棄物由来(規格外品、返品、売れ残り、食べ残し等)が約357万t、家庭系廃棄物由来(食べ残し、直接廃棄等)約289万t。646万tという数字は、日々10tトラック1千770台分の食糧を廃棄している計算だ。

「食品ロス削減推進法案」では、政府、事業者、消費者ごとに取り組むべき役割を整理した。まず政府が食品削減の基本方針を策定。同方針を踏まえ、都道府県や市町村が削減推進計画を策定し、対策を実施するとともに、消費者や事業者に対する普及啓発を行うほか、食品ロス削減に貢献した事業者等の表彰、フードバンク活動の支援。事業者に対しては、商慣習の見直しなど、製配販三層で生じる食品ロス削減のための事業の取り組みを支援するとともに、政府や自治体に協力し、食品ロス削減に積極的に取り組むことを求めた。

また、食品ロスの約半分が家庭から排出されていることから、消費者には食品の購入や調理方法の改善などによる自主的な食品ロス削減への取り組みを呼びかけていく。

商慣習については、小売店などが設定するメーカーからの納品期限と店頭での販売期限が製造日から賞味期限までの期間を3等分して設定する“3分の1ルール”の見直しに加え、賞味期限の年月表示化や賞味期限延長も併せて推進していく。

こうした状況も背景に、農水省は4月16日、同省で「効率的な食品流通に資する賞味期限の年月表示化に関するセミナー」を開催する。

食品の賞味期限を従来の日付管理から月別管理にすることで、食品の在庫管理や入出庫管理の効率化、物流の効率化による労働時間の縮減や低コスト化を目指すとともに、仕入れ済み商品より賞味期限が前の商品の仕入れ拒否に伴う食品ロスの削減も期待する。

セミナーでは、先行事例として、味の素、江崎グリコ、キリンビバレッジ、サントリー食品インターナショナルなどの取り組み事例を報告する予定。

一方、ヤオコーは4月から、専用センターでのドライグロサリー(コメをのぞく)の入荷許容期限を見直すことを明らかにした。

従来“3分の1ルール”で納入期限を設けていたが、これを“2分の1”に緩和する。サプライチェーンの見直しを進め、社会的課題となっている食品ロス削減につなげていく狙いだ。

小売による“3分の1ルール”の見直しは、東日本大震災(2011年3月)直後、一時的に緩和されたが、現在はほとんどが元に戻っている。背景には消費者の過度の鮮度志向や、賞味期限そのものに対する理解不足があるものと見られるため、賞味期限の理解促進に向けた啓発活動も課題となりそうだ。