サイバーリンクス社のクラウドEDI 利用小売250社超に 高まる流通BMS変換需要

流通システムベンダー大手のサイバーリンクス(本社・和歌山市、村上恒夫社長)が提供する小売業向けクラウドEDIサービスの利用が急増している。小売業の自社EDI書式を流通BMSの業界標準書式に変換し、企業間でやり取りできる仕組みで、ユーザー数は食品スーパーを中心にこのほど250社を突破した。

背景に税制・通信環境変化

小売業界ではJ手順の従来型EDIをインターネット型の流通BMSに切り換える動きが活発化している。その背景にあるのが小売を取り巻く税制および通信環境の変化だ。今年10月に予定されている軽減税率制度の導入に際しては、企業に複雑な仕入税額控除方式(19年10月から区分記載請求書等保存方式、23年10月から適格請求書等保存方式)への対応が義務づけられる。このことが複数税率に柔軟に対応できる流通BMSの普及を後押ししている面はある。

また、東西NTTは25年1月までに現行の固定電話回線網を廃止し、IP網に切り換える方針だ。これにより、J手順などの従来型通信手順による企業間EDIは利用できなくなる。回線移行作業は24年1月に始まるため、J手順を利用するすべての小売業は遅くとも23年末までにEDI環境をインターネット型の流通BMSに改める必要がある。

しかし、全体最適型の流通BMSは通信手順に加え発注・出荷案内等の書式も統一されている。自社書式から標準書式への移行に際しては、基幹システムおよび社内業務の見直しが必須となる。このことを理由に導入に二の足を踏む企業も多い。

書式変換機能付きのクラウドEDIサービスは、この課題を合理的に解決するもの。小売が自社書式で作成した発注データ等を流通BMSの書式に変換して仕入先に送信できるほか、仕入先が流通BMSの書式で作成した出荷データ等を小売は自社書式で受信できる。

サイバーリンクスは同サービスを16年12月から「BXNOAH(ビーエックスノア)」の名称で開始。流通BMSへの対応ニーズとクラウド活用による自社システム資産の軽量化ニーズを追い風に、導入社数を急速に広げている。ユーザーは数店規模の中小スーパーから地域シェアの高い有力リージョナルスーパーまでさまざまだ。個別書式への対応負担を削減できることから、受け側に位置する食品卸などの評価も高い。

ただし、高度な変換機能の活用により、標準化を視野に入れた基幹システムの刷新や業務フローの見直しに遅れが生じる恐れもある。今後、小売業が国内人口の減少による減収リスクと人手不足を克服していくためには、複数社による後方部門の集約・プラットフォーム化が有効とみられるが、それには部分最適型の旧システム・旧業務フローの見直しが欠かせない。CGCジャパンやサイバーリンクスは既にスーパー向けの共同利用型クラウド基幹システムサービスを展開しているが、こうしたパッケージの活用を含め、小売業は中長期のシステム戦略を早急に固める必要がありそうだ。