蒸し豆が水煮豆を逆転 30億円を突破、100億円視野に

マルヤナギ小倉屋によると今年1月のPI金額(KSP―POS全国データ)は水煮豆が397円に対し、蒸し豆が450円となり初めて逆転した。市場規模は30億円を超えたと推定される。

同社が蒸し豆を発売したのは04年。健康志向が強まる中、甘さを抑えた薄味の煮豆を作ろうと開発を始めた。店頭でのPRなど地道な営業活動を通し年々拡大してきたが、市場規模は水煮の2~3割程度にとどまっていた。

転機が訪れたのは発売から10年が経った14年の節分。NHKの朝の情報番組で大豆が特集され、その中で蒸し豆が重点的に取り上げられたことで注目を集める。さらに15年から16年にかけては、マルヤナギ小倉屋とフジッコの大手2社が機能性表示食品として展開を始め、健康ニーズをとらえる。

その後もたびたびメディアに蒸し豆が紹介され、その都度市場を拡大。14年以降は毎年3~4割程度の成長を続けてきた。特に昨年8月、民放の「名医のTHE太鼓判」で取り上げられてからの反響は大きく、メーカーが出荷調整する状態がしばらく続いた。

結果、推定市場は30億円を超え、水煮豆に肩を並べた。水煮豆もシュリンクしているわけではなく、需要は伸びている。ただ、蒸し豆の成長率が上回っており、マルヤナギ小倉屋では今後数年で市場は100億円に達すると見込む。

商品企画マーケティング推進部の尾鷲美帆部長は「これまでメディアに取り上げられても、それが一過性で終わることはなかった。知らなかった人が使って気に入り、そのままユーザーになってもらっている」と市場が広がった経緯を説明する。

同社の調べでは蒸し豆の認知度は50%、食経験は30%程度で、裏を返せばそれだけ成長の余地が大きいと言える。

こうした中、同社では新たに「おいしい蒸し豆」シリーズに新製品を投入。1つが15周年記念商品の「サラダ蒸し大豆」。国内での推定流通量が0.35%という、希少な国産の特別栽培大豆4種類を使っている。もう1品が、食感の異なる5種類の豆を塩と昆布のうまみで味付けした「おやつ蒸しまめ」。既存の「ほの甘蒸しあずき」とともに“スナック蒸し豆”として提案する。

最近は従来の煮豆・佃煮売場とは別に、蒸し豆や水煮豆を素材型商品としてコーナー化する店舗が増えており、この春は特にその傾向が強まっているという。「コーナー化が進むと、それだけラインアップも必要になる。新しいジャンルとして“スナック蒸し豆”を提案していきたい」(尾鷲部長)。

現在の蒸し豆のシェアはマルヤナギ小倉屋が約65%、フジッコを加えた2社で90%を超えると推定される。フジッコでも蒸し豆は大幅な伸長を続けており、食事の初めに蒸し大豆を食べる『大豆ファースト』を提唱するなど、健康面からの啓発活動にも注力し市場の活性化を図っている。