受け継がれる「地元発」の味

会合で房総の太巻き祭りずしを食べる機会があった。この料理は平成19年に「農村漁村の郷土料理百選」に選ばれており、お祝いごとには欠かせない千葉県の伝統郷土料理だ。

▼千葉県は全国有数のコメどころであり、この千葉のコメと、東京湾で養殖された江戸前海苔、卵焼きの材料の鶏卵や具となる葉物野菜や漬物など、千葉の恵みをたっぷり使った太巻きは、冠婚葬祭など地域の行事食として主に農村部で伝承されてきた。

▼試食の際にまず驚いたのが見た目の華やかさだ。桃の花の図柄の太巻きは、極細巻きの手法を使った代表的な文様で、花びらのぼかしが美しく、ピンク色のすし飯とほうれん草の緑色のコントラストが見事。味も伝統料理でありながら今の若者が食べても十分満足できるのではないか。

▼会合では千葉県伝統郷土料理研究会の龍崎英子さんが「重要なのはこの料理が農家の奥さんによって考えられ、伝えられてきたことだ」と熱弁した。地元の食材を地元の人が生かして華やかな料理に仕上げた。地産地消の手本のような料理は次世代へ伝えられ、継承されていく。