九州で画期的共配 労務改善へ業務相互委託 日酒販・国分G

日本酒類販売(日酒販)と国分グループが九州で画期的な共同配送スキームを軌道に乗せた。得意先専用センターへの横持ち物流業務を両社で分担して互いの業務・コスト負荷を抑制するもので、この取り組みを開始した昨年12月以降、福岡県内の両社の汎用センターでは日曜日の完全休業が可能になった。生産性向上と物流委託先の労務環境改善を両立する新たなスキームとして注目される。

汎用センターを日曜休業に

共同配送は昨年7月に九州の物流委託先に値上げを要請された日酒販が発案。委託先の業務負荷を抑えるべく、国分グループの九州地域卸・国分九州に協業を打診したところ「先方も同様の検討を始めており、即座に合意できた」(日酒販常務執行役員情報物流本部本部長・佐藤稔氏)という。

そのスキームは複雑だ。日酒販は従来から福岡に汎用センターと大口得意先A社向けのセンター前センターを設置。この汎用センターで専用センターを持たない得意先店舗への配送を手がける傍ら、センター前センターでA社専用センターへの横持ち配送を行っている。国分九州も福岡に汎用センターと大口得意先B社向けのセンター前センターを置き、日酒販と同様の物流体制を敷いている状況だ。

ただし、卸汎用センターの業務の中には、個店配送のほかに小売専用センターへの横持ちが含まれることが多い。特に小売専用センターがメーカーの直送を受けられないスロームーブ品に関しては横持ちが欠かせない。卸が取引額の大きな得意先向けにセンター前センターを設けることもあるが、そうでない場合、汎用センターからの横持ちが必須となる。

今回の2社の場合も同様だ。協業開始以前、日酒販汎用センターは小売B社専用センターへの横持ちを実施。逆に国分九州汎用センターは小売A社専用センターへの横持ちを行っていた。また、両社の汎用センターはいずれも個店配送について月~土の週6日稼働としているが、小売A・B社の専用センターが365日稼働となっていることから、日曜日の業務継続を余儀なくされていた。

新たな共同配送スキームは、この横持ち業務を2社間で集約するもの。日酒販は汎用センターで行っていた小売B社向けの在庫・配送業務を国分九州の小売B社向けセンター前センターに委託。一方、国分九州の汎用センターも小売A社向け在庫・配送業務を日酒販の小売A社向けセンター前センターに委託し、共同配送方式に切り換えた。

この新方式への移行に伴い、両汎用センターは昨年12月に人手の確保が困難な日曜日の完全休業化を達成。物流委託先の労務環境とオペレーションコストの改善により、委託費用の値上げを回避できたほか、「共配化によってセンター前センターのスペース効率と車両積載効率を引き上げることができた」(国分グループ本社物流統括部副部長・堀内孝之氏)。

また、日酒販は空きスペースの生じた汎用センターで庫内レイアウトを一新。「動線の短縮によって生産性が向上し、残業時間が短くなった」(佐藤常務執行役員)という。共配方式への切り換えを受け入れた小売A・B社の専用センターでも部分的に入荷車両台数の削減が進むなど、関係するすべてのプレーヤーにプラス効果が出ている。

この成果を受け、日酒販と国分グループは他地域でも同様の協業を進めるべく情報交換を加速。このほど北陸での連携に向け検討を開始した。13年以降の労働需給構造変化と物流費の高騰を受け、食品卸業界でも同業者や異業種卸などとの物流協業が急増しているが、共配化によって汎用センターの休業日を捻出できたケースは恐らく初めてだ。小売専用センターへの横持ちを理由に年中無休となっている卸汎用センターは非常に多く、日酒販・国分型の協業が増える可能性がある。スーパーを中心に専用センターの365日稼働を見直す動きもあり、今後は物流拠点の休業日確保が流通全体の共通テーマになりそうだ。