即席袋麺、復活へ ダウンサイズ、個食提案 新規ユーザー獲得に成果

ダウントレンドが続いていた即席袋麺だが、2018年(1~12月)の総需要は、前年実績(年計ベース)を上回った模様だ。「チキンラーメン」(日清食品)、「サッポロ一番 みそラーメン」(サンヨー食品)といったロングセラーブランドの周年施策が需要を喚起したことに加え、若年層、シニア層といった新規ユーザーの開拓を狙った新製品、少人数世帯の増加に対応した個食販売などの売り方提案も寄与した。

即席袋麺は、簡便性、即食性などがネックとなっていることに加え、5食パック販売の定着により新規ユーザーの獲得が進まないといった課題があった。

こうした状況下、若年層をターゲットに、カップ麺ユーザーの取り込みを狙った「チキンラーメン 具付き3食パック アクマのキムラー」(日清食品)、シニア層をターゲットとする「お椀で食べる」シリーズ(日清食品)といった3食タイプが市場に受け入れられたことに加え、サンヨー食品が「サッポロ一番 みそラーメン」50周年記念施策の一環として実施した個食販売といった新たな取り組みが奏功。既存ユーザーに加え、新規ユーザーや休眠ユーザーの掘り起こしに成功し、ダウントレンドに歯止めを掛けることにつながったものとみられる。

昨年発売60周年を迎えた「チキンラーメン」は、年度当初から「『チキンラーメン』ブランドとしてネット売上高過去最高を目指す」(安藤徳隆日清食品社長)という目標を掲げ、商品、TVCM、店頭施策を展開。第3四半期末時点でブランド売上高過去最高も視野に入ってきたようだが、若年層をターゲットにした「チキンラーメン アクマのキムラー」が市場に定着した。さらに「レギュラーの5食パックは必要ない」というシニアのニーズをとらえたダウンサイジング(麺量28~30g)の3食パック「お椀で食べる」シリーズも「生産が間に合わない」(同)と好調に推移しており、同社袋麺部門の売上高に加え、袋麺市場の底上げにも寄与した形だ。

一方、サンヨー食品は「サッポロ一番 みそラーメン」発売50周年記念施策の一環として、定番商品「サッポロ一番 みそラーメン」と限定品(3品)による個食販売(バラ売り)が袋麺売上げ増の一助となった。

この取り組みについてサンヨー食品の篠原幸治取締役マーケティング本部長は「個食販売で購入されている人のおよそ3分の1は、ふだん袋麺を購入されていない新規ユーザー。なぜ購入されないのかといえば、『同じフレーバーが5個も入っている』ということが理由。5食パックは昔から袋麺を食べられている人にはいいが、食べたことがないものを一度に5食買うことへの抵抗は強い。個食販売にすることで、袋麺に対する参入障壁が低くなり、新規・休眠ユーザーが参入。『サッポロ一番 みそラーメン』の売上高が伸びるという結果が出た」と成果を語る。

個食販売と客単価の関係については「購入される人は5食パックからの切り替えではなく、そのほとんどが3~4品購入され、食べ比べをされているようで、結果的に客単価は上がった。個食の方が店頭価格は高いので、3~4品購入されると、5食パックより購入単価が高くなるという結果も出ている」(篠原本部長)と分析。

また、「少人数世帯化が進む中、新規ユーザーは“作ることの簡便さ”以上に、“個食であることの簡便さ”を重視している。食べ比べされている人の特徴は、購入されてすぐに調理されているため、消費が早いという面がある。『サッポロ一番 みそラーメン』を食べていただくきっかけ作りとして非常に成功した」(同)との認識を示した。

こうした成功事例を踏まえ、「来期は個食販売の実績を紹介しながら、お取引先さまの取り組みを増やしていきたい。右肩下がりだった袋麺市場を平行に、できれば少しでも上向かせる中で、上向く部分を『サッポロ一番』が多く取れれば意味がある」と語り、個食販売提案による袋麺市場の再活性化にも意欲を見せた。

18年については、ロングセラーブランドの周年効果が大きかった。それだけに、裏年となる19年の動向は、袋麺の今後を占う意味で注目される。