「一番搾り」「本麒麟」など主力刷新 集中投資で前年超目指す キリンビール

昨年のキリンビールはビール類計で前年比5.2%増と、厳しい市場の中でも大幅に伸長。特に3月発売の新ジャンル「本麒麟」は940万箱に達し、過去10年の同社新商品では最大の売上げとなった。

布施孝之社長は社員と対話を重ね危機感を共有してきたといい、CSV(社会と共有できる価値の創造)経営を土台にして「真にお客さまのことを一番に考える会社にしようとしてきた」(布施社長)ことが好成績につながったとみる。

「これまでの取り組みは総花的に分散していたために、やりたいことが伝わらなかったが、昨年は主力ブランドへ資源を集中した」ことで「『のどごし』が下支えし、『一番搾り』『本麒麟』が好調に推移した」(同)という。またRTD、洋酒も市場を超える伸びを示した。

今年は新たな中期経営計画が始動。「昨年、緒に就いた内容を本物にする3年間だ。真にお客さまのことを考える組織風土、CSVカルチャー、現場が主役・本社がサポート、という会社に変えていきたい」(同)と意気込む。

19年のマーケティング戦略は「主力ブランドへの集中投資」「クラフトビール事業への注力」。

10月には生活防衛意識が高い中で消費増税が行われることから価値ある新ジャンルへの支持が拡大するとみる。一方で来年から段階的に行われる酒税改定で狭義のビールの減税が始まりビールの伸長も見込まれる中、「主力ブランドへの集中はぶれずに進める」(同)として「ビール類ポートフォリオの強化を実現する」(山形光晴マーケティング部長)。

昨年のビール「一番搾り」単体は2%減だが缶は約5%増と好調。伸びしろがあるとみて味覚・パッケージを刷新し、4月上旬製造品から順次切り替える。併せて大規模プロモーションを展開し、300万人規模のサンプリング、飲食店4万店でのブランディングなどを行う。

糖質やプリン体カット商品群で売上げナンバーワンという「淡麗グリーンラベル」は新広告が好評。健康ニーズは広がるとみており、ホップアロマ製法を用いるなどしてバランスの取れた味覚へ刷新。パッケージも、「糖質70%オフ」を分かりやすくするなどの変更を行い、2月下旬製造品から順次切り替える。また店頭などでキャンペーンを図るとともにCMを継続する。

昨年の「本麒麟」は手頃な価格で本格感のある商品が手に入るといった理由で高いトライアルを獲得できたとみており、今年は刷新してドイツ産ヘルスブルッカーホップを増量、パッケージも変更し1月中旬製造品から順次切り替え、大幅増を目指す。

昨年前半は不調だった「のどごし〈生〉」は昨夏の刷新後に出荷は好転。今年はサンプリングや広告、店頭活動などで勢いをつなぎたい考えだ。

一方で消費者はいまだにビールへの魅力を感じていないとみており、市場活性化へ向けてクラフト事業へも注力。接点拡大への武器として複数のクラフトを提供できるディスペンサー「タップマルシェ」の取扱店を拡大するとともに国産ホップを支援するなどして地域活性化も図る。

布施社長は刷新品、新商品の成功率が上がっていることについて「判断基準をお客さまに置き、インサイトを見抜いてきたからだ」とし「好結果を続ける難しさは認識している。慢心せず、社員と意思疎通を図りながら進めたい」と話している。