遺伝子組換え表示基準 糖類、油は適用除外 米農務省が策定

【JETROビジネス短信】米国農務省(USDA)は昨年12月20日、全米バイオ工学食品情報開示基準(遺伝子組み換え食品表示基準)の最終規則を公表した。16年7月に連邦議会で可決された全米バイオ工学食品情報公開法に基づき、USDAの農産物マーケティング局(AMS)が基準案を18年5月4日に公示し、その後1万4千件以上のパブリックコメントを受けて最終規則を決定したもの。

情報開示対象となる「バイオ工学食品(BE=Bioengineered Food)」については、「遺伝子物質を含み、かつ従来の品種改良では得られないか、自然界で起こらない遺伝子組み換えがなされた食品」と定義。

懸案となっていた糖類や食用油など高度精製品(highly refined products)は、「DNA技術によって組み替えられた遺伝子物質を含有しないため、開示要件から除外」とした。

同規則の施行は20年1月1日(小規模食品製造事業者は21年1月1日)で、2022年1月1日から義務化される。情報開示が義務付けられる事業者は食品製造業者、輸入者、特定の小売業者で、零細食品事業者(年間売上高250万ドル未満)やレストランなどの食品小売施設で提供される食品は、基準案通り免除対象となった。

AMSが作成した適用事業者はバイオ工学食品リストに基づき、表示義務の有無を判断する。情報開示方法は、BE食品であることを示す文字やシンボルマークの表示(〓画像参照)、当該食品のBE原材料に関する情報を示したQRコードの掲載など複数の表示形式に加え、小規模事業者向けに電話番号やURLによる情報入手先の記載も認められた。

最終規則で糖類や油など高度精製品が開示対象から除外されたことで、米国最大の農業団体アメリカン・ファーム・ビューロ連合(AFBF)や、全米トウモロコシ生産者協会(NCGA)など生産者側は高く評価し、AFBFのジッピー・デュバル会長は「消費者に透明性を提供し、農業の持続的発展を守る規則」とコメントした。一方、消費者団体などからは、QRコードなど消費者が一目で確認できない表示方法や、糖類や油など高度精製品の適用除外など、「生産者に有利な抜け穴が多い」との批判の声もある。

遺伝子組換え表示改正案 新たな公定検査法「時間を要する」消費者庁

BE食品であることを示すシンボルマーク

内閣府の消費者委員会は、昨年12月19日に開かれた「第49回食品表示部会」で、遺伝子組換え表示制度に係る食品表示基準の一部改正案を審議した。消費者庁からは昨年11月8日に締め切られたパブリックコメントの内容が公表された(意見総数は773件)。

同日の審議では国立医薬品食品衛生研究所生化学部長の近藤一正氏が、遺伝子組換え農産物の混入有無を確認する上で重要となる、公定検査法の確立に向けた取り組み状況を説明した。

消費者庁では公定検査法について、「今年度末にトウモロコシ、来年度末に大豆で一定のメドをつけたい」としたが、再現性のある公定検査法として確立するには「現時点では来年度末は厳しい。場合によっては再来年度末になるだろう」との見通しを示した。

遺伝子組換え表示食品の見直しでは、表示義務対象品目は安全性が確認された8農産物33食品群で、米国同様に科学的検証において最終製品で組換えDNAの残存が確認できない食用油などは現行制度のまま対象外となる。

任意表示の「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件については、現行の5%以下から不検出に厳格化する。現在、消費者委員会での諮問が行われており、部会では年明けに再度、集中審議を行う。