来年“想定外はない”の気構えで 「さらに新しいことに挑戦」 サントリー食品・木村常務

「飲料業界は駅伝に例えると平坦な道のりから山道に差し掛かっている。しんどいが、山登りの走り方に変えなければ勝ち残れないし、ここを制するものが勝負を勝ち取る」――。こう来年に向けて語るのは、取材に応じたサントリー食品インターナショナルの木村穣介取締役常務執行役員ジャパン事業本部長。同社の販売数量は今年、業界平均の伸びを上回る見通しだが、一方で西日本豪雨などによる自然災害に猛暑が重なったことに起因する物流の混乱などもあった。

「今年の市場は、『今年の漢字』に表されるように、一言で言うと“災”。そうした中、“想定外”のトラック不足への対応など、当社の課題が浮き彫りとなった年でもあった。来年は今年の事例を教訓に、あらゆる想定を事前に行ってシナリオをつくり、もはや“想定外はない”との気構えで備えていく」と述べる。

また、来年に向けては、猛暑となった今夏の反動減を想定し「さらに新しいことに挑戦し、今は存在していない新たな需要を掘り起こす商品を世に送り出していきたい」。同社の基幹ブランドで、今年最も特筆すべきは「サントリー天然水」と「ボス」。1―11月累計で「サントリー天然水」は前年同期比9%増の1億920万ケース、「ボス」は9%増の9千722万ケースを記録し、国内ブランドの販売数量の最上位群で競合に拮抗する勢いで伸長している。

「サントリー天然水」は、本体(プレーン)の安定成長に加えて、4月に大刷新した無糖炭酸水の「サントリー 南アルプススパークリング」シリーズがほぼ倍増となった。「スパークリング」は「競合の清涼飲料だけを見て仕事をするのではなく、同商品の清冽なおいしさと爽快な刺激がストレス発散、リフレッシュしたい時に飲用される傾向を見据え、お酒やタバコなど飲料以外からも需要の獲得を期待し活動した。キリッと強めの刺激を設計しガス圧を高め、爽快な気分を重視した新コミュニケーションを展開したところ本当に新しいお客さまからご支持が得らえるようになった」。

「ボス」はPETボトル入りコーヒーの「クラフトボス」シリーズが牽引。「『クラフトボス』のコンセプトは04年から05年に発売された同じくPETボトル入りのカフェラテ『SORA(ソラ)』に近しかった。ただ当時は中味と容器の両方で今のような高い技術がなく、時期尚早の商品だった。『クラフトボス』はそうした長年の試行錯誤の上、ようやく開花したのであり、短期間で造った商品とは違って、現代の社会の価値観に合った、今の缶コーヒーユーザーとは微妙に違う新しい層のお客さまの機微に触れることができていると考えているので、引き続き大事に育てていきたい」。

来期、同社はさらなる成長に向けて新商品や新システムを創出し、冒頭述べた“山道”に挑んでいく。