鹿児島県・伊仙町篇⑧
泉農園の防風対策 千年木に一定の成果 過去最大級の台風を乗り越える

徳之島コーヒー生産者会で副代表をつとめる泉延吉さん(70歳)はUターン者で61歳まで東京で機械設備制御の仕事をしていた。

伊仙町に戻ってきて今年で9年目になる。「戻ってきたときに人任せにしていた亡父の畑を引き継いだが、それまで農業をしたことがなかった」と泉さんは当時を振り返る。

現在は、吉玉誠一代表の片腕として平地に近い場所に広さ20a(2千㎡)の農園を持ち、その隣の広さ10a(1千㎡)の「AGF®コーヒー実証農場」も管理している。

「AGF®コーヒー実証農場」は、伊仙町・徳之島コーヒー生産者会・味の素AGF社・丸紅の4者で構成される徳之島コーヒー生産支援プロジェクトの一環で拓かれたもので、台風に強い種の探索を主目的としている。ブラジル・イカトゥ種、コロンビア・カスティージョ種など基本的にはアラビカ種で低木に育つタイプが植えられている。苗木の数は、補植・新植が施され現在190本。

泉さんの農法の特長は、千年木(せんねんぼく)を多用した防風対策。過去に大型台風が2年連続で直撃し300本の苗木が半減した経験を経て、千年木の発想にたどり着いたという。

泉農園の周辺は、もともと急傾斜地に畑が広がっていたが、都道府県営事業である畑地帯総合整備事業(略称:畑総事業)によって整地され、平地に近い地形で風の影響を受けやすくなっている。(写真下記事続く→)

「AGF®コーヒー実証農場」外観*11月撮影
「AGF®コーヒー実証農場」外観*11月撮影
千年木と防風ネットで守られる「AGF®コーヒー実証農場」*11月撮影
千年木と防風ネットで守られる「AGF®コーヒー実証農場」*11月撮影
泉農園(右)に隣接する「AGF®コーヒー実証農場」(左)*6月撮影
泉農園(右)に隣接する「AGF®コーヒー実証農場」(左)*6月撮影
コーヒーの木を1本ずつ守るように等間隔で千年木が植えられる泉農園。*6月撮影
コーヒーの木を1本ずつ守るように等間隔で千年木が植えられる泉農園。*6月撮影

「畑は道路よりも低い場所にあるので、道路の高さが風除けになるかと思ったが、2年連続の台風でやられてしまい、防風対策として千年木を植えた」という。

現在は、畑の周りをカポックと千年木で囲い、畑の中にもコーヒーの木を1本ずつ守るように等間隔で千年木が植えられている。これにより昨年10月の台風を乗り越え、今年9月末日に徳之島を直撃した過去最大級の台風24号でも「実はかなり落ちたが木は2本くらいしか折れなかった」と述べ、防風対策として一定の成果がみられた。

泉農園には200本弱のコーヒーの木があり今春5キロ程度を初収穫。「それまでたいした量ではなかったので放置していたが、今年初めて収穫してほとんど自分で飲んでしまった」という。

肥料は鶏糞や緑肥などを使用し、味の素ヘルシーサプライの液肥「アミハート®」は「散水時に水に薄めて月に1回の頻度で使用している」。緑肥はソルゴーを使用。ソルゴーはコーヒーの苗木に撒くと肥料になるほか、雑草も生えず除草剤代わりに好適だという。

来年に向けては、近くに新たな畑を拓き1千本の種の直播を予定し同様の防風対策を施していく。 「平坦な場所でもコーヒーができることが実証できれば私の役目は終わりでいいと思っている。平坦な場所でもつくれるようにならないと生産量は増えていかない」と語る。

農園の回りを囲うカポック*11月撮影
農園の回りを囲うカポック*11月撮影
緑肥となるソルゴー*6月撮影
緑肥となるソルゴー*6月撮影
新たな畑に1千本の種の直播を予定*11月撮影
新たな畑に1千本の種の直播を予定*11月撮影