チーズ 上期も成長続く 価格改定で明暗も食べ方提案で需要創造

2018年度上期の家庭用チーズ市場は、金額ベース、物量ベースとも5%増で折り返した模様だ。種別内訳は、プロセスチーズ(以下、PC)が金額・物量3%増、ナチュラルチーズ(以下、NC)は金額8%増、物量6%増。今上期は、大手3社(雪印メグミルク、森永乳業、明治)が価格改定を行ったが、家庭用で大手の一角を占める六甲バターほかの中堅メーカーは価格改定を見送った。この影響を受け、最大のボリュームを持つスライスチーズが苦戦した雪印メグミルク、森永乳業は上期前年割れとなるなど、メーカー業績は明暗が分かれる結果となった。

上期の市場(物量ベース)は、スライス約2%増、ポーション(6P)約2%減、ベビー約10%増、シュレッド約5%増、カマンベール約8%増といったようにおおむね好調に推移した。

ベビー、カマンベールの伸びが目立つが、ベビーは最大手の六甲バターが価格改定を見送ったことが主因。大手3社の価格改定で6Pなどの店頭価格が上昇したが、ベビーは価格を維持したことから、一部6Pからベビーにシフトしたこともベビー伸長の要因とみられる。

カマンベールは、雪印メグミルクが価格改定、明治が価格改定と容量変更(100g→90g)という異例の対応をとったが、8月にテレビの情報番組でカマンベールの健康機能(認知症に効果)が報じられたことなどもあり、雪印メグミルク、明治とも、価格改定の影響をものともせず売上高を伸ばした。高単価商品であるカマンベールは、もともと中高年の富裕層が主要購買層で、健康情報に敏感だったことも影響したものとみられる。

加えて、“インスタ映え”するカマンベールチーズ鍋が若年女性層を中心に人気を博しており、こうした要素もカマンベールの売上げを伸ばす一因になっているものとみられる。

今上期最大の特徴はメーカー間の格差。主因は価格改定。チーズのコスト構造は各社とも大きな違いはないため、これまで価格改定時は一部のアウトサイダーなどを除き、横並びで価格改定が実施されてきたが、今年は大手3社が原価高騰などを理由に価格改定に踏み切る一方、大手の一角を占める六甲バターは価格改定を見送るなど対応に違いが現れた。

六甲バターは、大手3社よりも、直接的に競合する中堅メーカー対策として価格改定を見送ったものとみられるが、結果的に同社が得意とするベビーチーズが大幅増となる一方、6Pが物量前年割れになるといった影響が出た。

価格改定の影響を受けた大手3社は雪印メグミルク、森永乳業が上期前年割れとなり、2社より価格改定を1か月遅らせた明治は前年実績を上回るといったように、価格改定のタイミングでも、上期の結果で明暗が分かれた。ただ、ここ数年、大手3社はそれぞれの差別化商品に注力。また、大手ならではのマーケティング力を駆使し、既存商品の拡販でも成果をあげている。

特に注目されるのが雪印メグミルクの6P。超ロングセラー商品で、以前は中高年のビールのおつまみ的存在だったが、新たな食べ方提案により30~40代子育て層の取り込みに成功し売上高を伸ばしている。こうした成功事例を水平展開すべく、同社は今秋、スライスチーズの新たな食べ方提案を展開。ボリュームゾーンの巻き返しに乗り出している。

チーズは、具体的な健康機能とおいしさで市場を拡大させている。大手、中堅を問わず、原価高騰を受け、価格戦の余裕はないだけに、今後も差別化、付加価値、話題性の訴求が、さらなる市場成長のポイントとなりそうだ。