昭和は遠くなりにけり

「降る雪や 明治は遠く なりにけり」と中村草田男が詠んだのは昭和6年らしい。明治の終りから20年後のことだ。昭和の終わりから30年以上たった今、昭和も遠くなったと感慨にふける機会が増えた。

▼年々、年末らしさを感じることが少なくなったと感じていたが、その理由の一つに思い当たった。『忠臣蔵』だ。昭和の時代、年末になると忠臣蔵をテレビや映画・舞台で目にしていたがめっきり見かけなくなった。昭和も終わりの頃には時代劇は減少していたが、ドリフターズなどのコントやパロディーの題材の定番だった。

▼海外にも風物詩的な作品はあって、アメリカではクリスマス・シーズンになると「すばらしき哉、人生!」が毎年のように放送される。1946年の作品なので70年以上前の映画だ。ツキに見放され自殺しようとした男が天使に助けられ、実は自分が世の中の役に立っていたことを知り人生の素晴らしさに気付くというストーリー。

▼年末の風物詩がなくなるのは寂しく“昭和は遠くになりにけり”だが、よく考えれば忠臣蔵は昭和ではなく元禄の話だった。