今年の酪農乳業界 北海道地震が直撃 アイス、チーズは続伸 TPP発効で国際競争時代に

2018年の酪農乳業界は、アイスクリーム、チーズなどが引き続き好調に推移したが、9月の北海道胆振(いぶり)東部地震では、大規模停電(ブラックアウト)が道内の酪農・乳業を直撃し、生乳生産に影響を与えた。一方、12月30日には環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が発効、酪農乳業界は本格的な国際競争時代に突入する。生活者の健康志向を背景に、牛乳・乳製品に対する需要は堅調に推移しているが、本格的な国際競争時代の到来は間近か。官民挙げた競争力強化が急がれる。

今年は地震、台風、集中豪雨など自然災害に見舞われる1年となったが、酪農乳業界に大きな衝撃を与えたのが北海道胆振東部地震。

地震そのものの被害は軽微だったが、ブラックアウトにより、道内乳業メーカー工場のほとんどが、一時的とはいえ操業停止に追い込まれた。この影響で、酪農家は生乳の出荷停止・生乳廃棄を余儀なくされる事態となった。ブラックアウトという想定外の事態とはいえ、将来的な不測の事態に備え、事業継続計画(BCP)の見直しが急務となっている。

畜産経営の安定に関する法律等の一部を改正する法律が4月1日から施行された。これまで生乳のほとんどは指定生乳生産者団体を通し乳業メーカーなどに供給され、補給金(補助金)の交付も同様だったが、同法の施行を受け、4月1日以降は指定団体を通さず、直接、メーカーなどと取引している酪農家にも補給金が交付されることになった。

米国を除く11か国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が12月30日に発効。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)も来年2月1日に発効する。TPP、日欧EPAとも当面の影響は未知数だが、国内の酪農乳業にとっては、競争力強化が今後の大きな課題に。

国内乳製品市場ではアイスクリーム類、チーズなどが好調に推移した。アイスクリーム類の17年度(17年4月~18年3月)市場規模は5千114億円、16年比3・5%増となり、史上最高売上高を5年連続して更新し、市場規模を初の5千億円台に乗せた。10年が4千63億円だったので、わずか8年間で1千億円を積み増したことになる。付加価値の高い商品提供やシニア需要の拡大、冬アイスの定着などから順調に拡大したものとみられる。

一方、チーズの17年度(17年4月~18年3月)総消費量は3年連続で過去最高を更新したが、18年も好調を持続している。特に機能性が注目され、カマンベールに続き、春先にはブルーチーズが欠品するという異常事態となった。ブルーチーズが血管年齢を若返らせるという内容のテレビ番組が放映されたことで需要が急増したため。ブルーチーズはそのほとんどが輸入物で、数量も限られているが、テレビ報道を受け、健康情報に敏感なシニア層が殺到したことから、4月から5月にかけて品薄となり、インポーターには常連からのクレームが殺到する異常事態となった。

16年の国民一人当たりのチーズの年間消費量は2.7㎏となったが、世界最高のデンマーク(28.1㎏)と比較すると、いまだ約10分の1規模とはいえ、ここ数年は「チーズタッカルビ」「カマンベール鍋」等々“インスタ映え”するメニューが若年層を中心に人気となっているが、18年は“チーズティー”が密かな話題となるなど、健康機能、食べ方提案両面の話題が市場を拡大させている。

導入が検討されていた乳児用液体ミルクの国内での製造・販売が解禁され、来春にも発売される見通しとなった。災害時に有効となりそうだ。

農水省が牛乳・乳製品を対象とする下請ガイドラインを公表した。牛乳・乳製品の取引実態を踏まえ、独占禁止法(優越的地位の濫用)、下請法で問題になり得るメーカー~小売間の取引事例と対応方法を整理。特徴的な事例と関連法規の留意点を分かりやすく示すことで、法令違反の未然防止につなげる狙い。

なお、表は酪農乳業専門紙誌9社で構成する酪農乳業研究会が選定した18年酪農乳業重大ニュース。