冷凍食品、市販用支えに生産量「微増」 在宅介護増加で役割拡大 冷食協・伊藤会長

一般社団法人日本冷凍食品協会の伊藤滋会長(マルハニチロ社長)は12日、今年の冷凍食品業界を振り返った上で、冷凍食品の役割や人手不足問題、来年の市場見通しなどについて、おおむね次のように語った。

「需要拡大の機会は増加」

今年度の冷凍食品の家庭用需要は、各社の新製品開発や積極的なメディア露出等で全体では前年をやや上回る見通しだ。業務用は惣菜など中食が引き続き堅調に推移したが、外食需要が天候の影響を受け、北海道ではインバウンドの観光客が減ったことなどにより動きが弱い。

その結果、現時点での生産量は前年比100~101%、数量で160万~161万tの微増とみられる。市販用は2~3%増で順調に推移したが、業務用が落ち込んだ。ただし少子高齢化や女性の社会進出、単身・二人世帯の増加など社会構造の変化や人手不足の深刻化により、冷凍食品の需要拡大の機会は増えている。

コスト問題

物流費の大幅値上げが実施され、ドライバー不足も深刻な状況だ。コスト上昇を背景に一部のメーカーは業務用の価格改定を公表した。今後こうした状況が続くことになれば、全体でも価格改定が必要になる。家庭用の値上げは個々の対応の中でするしかない。だが、コストアップ分をある程度値上げしないとメーカーも立ち行かなくなる。各社も値上げの動きを取ってくると思う。

人手不足問題

一部メーカーはAIやロボットの採用により製造工程の見直しを進めている。今後も設備投資を進め、外国人受け入れ制度も定まれば活用していく。外食や医療・介護分野の需要が増えれば、ますます人手不足が起こり、調理が簡便な冷凍食品の活用の場はさらに広がる。各社とも人手不足の認識は高い。

こうした中で外国人労働力は極めて大きな戦力になる。それには食品産業そのものが外国人労働を受け入れる環境づくりが必要だ。住居や福利厚生の設備には検討する余地があり、会員に助言しながら協会としても検討していく。対応次第では厳しいが対応次第では有効だ。

冷凍食品の役割

マーケットでは単身・二人世帯が増加し、高齢化も進んでいる。社会構造の変化やライフスタイルの変化に伴い、食品市場は大きく変わっていくことは間違いない。この中で冷凍食品は消費者生活の変化に合わせた商品を提供できる優れた特性を持っている。

冷凍食品は時間をコントロールできる食品だ。おいしさ、栄養、保存性、簡便性に長けていることを訴求するとともに、調理の多様性や商品領域の拡大性などの特性を生かした身近な食品として、業界一丸となって家庭用、業務用のそれぞれのニーズに対応する。

消費税増税

食品は軽減税率が適用されるが、材料や燃料等は10%に上がり、これがどう影響するかだ。だが消費税8%の時はいったん食料品は大きく落ち込んだが、意外に早く回復した。全体的には問題が混在するが、軽減税率が適用されたことで冷食は特に大きく落ち込むことはないと思う。

19年度市場見通し

中期的に見て冷食市場はライフスタイルの変化などを背景に間違いなく成長分野だ。来年はトランプリスクが大きい。米中の貿易摩擦が世界経済にどう影響するかは大きな問題。しかも中国は既に減速経済に入っており、インバウンドを含めて日本の消費は大きく影響する。これが後半どう表れてくるかが心配だ。

市場的には介護市場はもっと利用できる。在宅介護が増える中で冷凍食品の役割は大きい。