〈2018年即席麺回顧〉今年も過去最高更新へ 袋麺再活性化で需要拡大

世界初の即席麺「チキンラーメン」(日清食品)の生誕60周年という記念の年となった2018年は、「サッポロ一番 みそラーメン」(サンヨー食品)の50周年、「赤いきつねうどん」(東洋水産)40周年、「スーパーカップ」(エースコック)30周年といったように、各社主力ブランドの周年ラッシュとなった。袋麺を中心とする周年記念商品や需要創造型商品の投入、販促企画等々も盛りだくさんとなったことに加え、天変地異の多発で保存食としての価値が再評価されたことなどで需要を喚起、即席麺総需要は4年連続で過去最高を更新する見通しだ。

他カテゴリーでは原材料価格の高騰、来年10月の消費増税なども横目に睨みつつ、五月雨式に価格改定が発表、実施されている。即席麺業界も原材料価格を筆頭に、資材、エネルギー、物流、人件費などのコスト増を受け収益構造は厳しさを増しているが、現段階では売上拡大によりコスト増を吸収し、利益を確保する方向で、年頭、その可能性が示唆された価格改定は見送られた。

業界にとって2018年のサプライズは、袋麺需要の復活。これまで長期にわたり、袋麺からカップ麺への需要シフトが続いていたが、2018年はこの流れに歯止めがかかった。

「スーパーカップ」(エースコック)
「スーパーカップ」(エースコック)

発売60周年を迎えた「チキンラーメン」、同じく50周年を迎えた「サッポロ一番 みそラーメン」という袋麺2大ブランドの牽引、ロングセラーブランド「チャルメラ」「中華三昧」(明星食品)、今年発売55周年を迎えた「チャンポンめん」(イトメン)などの健闘も寄与した模様だ。

特に「チキンラーメン」は「チキンラーメン 具付き3食パック アクマのキムラー」を発売するなどし、若年層の開拓にチャレンジする一方、少量タイプの「お椀で食べる」シリーズの拡充などによりシニア層の取り込みを図るなど、新規ユーザーの獲得が進んだものとみられる。

「サッポロ一番 みそラーメン」も、各種販促に加え、周年記念商品を続々投入するなどしたことで需要を喚起。さらには「塩らーめん」を中心とする夏場の需要喚起なども、袋麺全体の需要拡大につながったものとみられる。

一方のカップ麺は、今年もコンビニを中心とする改廃マーチャンダイジングが健在だった。新製品により消費者の購買意欲を刺激し続けていることで、引き続き堅調な動きを見せた形だ。

QTTAはイベント活発化(東洋水産)
QTTAはイベント活発化(東洋水産)

「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清焼そばU.F.O.」(日清食品)、「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」「麺づくり」(東洋水産)、「カップスター」「サッポロ一番どんぶり」(サンヨー食品)、「一平ちゃん夜店の焼そば」(明星食品)、「スーパーカップ」(エースコック)といった各社ロングセラーブランドが、バリエーション商品を含め活発な動きを見せる一方、中堅メーカーも「ペヤングソースやきそば 超超超大盛GIGAMAX」(まるか食品)がメディアで話題となりヒットしたほか、高付加価値ノンフライ麺「凄麺」シリーズ(ヤマダイ)、「金ちゃんヌードル」(徳島製粉)なども堅調に推移するなど、各社の注力商品が業績を牽引する形となった。

このほか、女性用をターゲットとした焼そば「モッチッチ」(エースコック)が大幅増。若年層の開拓を狙い発売2年目を迎えた「MARUCHAN QTTA」は積極的なバリエーション商品の展開やイベント展開などにより前年を上回り推移した。

消費者の生活防衛意識の高まりを背景にニーズが拡大しているオープンプライスの大盛タイプでは、「ごつ盛り」(東洋水産)に続き、和風テイストの「旨だし屋」(明星食品)が好調に推移するなど、各社狙い通りの展開をみせた。

乃木坂46と「カップスター」等がコラボ(サンヨー食品)
乃木坂46と「カップスター」等がコラボ(サンヨー食品)

若年層開拓に向けては、今年の流行語大賞にノミネートされ、中高生の支持が高い動画投稿アプリ「TikTok」を活用したプロモーション(エースコックほか)、アイドルグループとのコラボレーション(サンヨー食品、明星食品など)といった動きも加速した。

ストアブランドでは健康系商品も高い支持を得ており、コンビニなどで定番化が進んだ。

これまで即席麺の未開拓市場とされてきた「若年層」「女性層」「健康系」等々も攻略の糸口が見えるなど、さらなる需要拡大、5年連続総需要過去最高に向け希望の持てる2018年となった形だ。

中国の今麦郎が日本で新商品発表

一方、新たな動きとなったのが中国の即席麺メーカー今麦郎面品有限公司(範現国董事長兼総裁)。今年8月、独自製法を活用した即席カップ麺の新ブランド「今麦郎 老范家 速食 面館面」(日本語名称:今麦郎 ジンマイロウ 新品カップラーメン)の発表会を都内で開催した。

「面館面」は、同社が新たに開発した「スチームボイル製法」を活用した生麺のような食感の麺が特徴。8月に大阪で開催された「世界ラーメンサミット」に合わせて来日した範董事長兼総裁は、「研究開発に10年の歳月をかけ、31の技術的課題をクリアして開発した新製法。インスタントラーメンの新時代を切り開く」と新ブランドに自信を示し、日本メーカーへの対抗心を露わにした。

即席麺は今や、全世界で年間1千億食という需要を有する日本発のグローバルな食品となった。国内メーカーの海外進出が加速しているが、その一方、「辛ラーメン」などを展開する韓国の農心に続き、将来的に日本国内で内外のメーカーが火花を散らす時代が来ることになるかもしれないという点で、今後の動きが注目されそうだ。