特殊製法塩大手 来年度以降、値上げ実施へ 塩は価格改定一色の様相に

塩は来年度以降、値上げ一色の様相となってきた。今年4月に国内塩大手が業務用塩の18~20%値上げで出揃い、実施したことで、国内塩を原料とする特殊製法塩各社は既に値上げをかぶっている状況下にある。加えて、輸入塩の大手商社である三菱商事と三井物産が揃って原塩価格の値上げ交渉を現在進めている。輸入天日塩を原料に溶解再生・加工する企業は軒並み来年1月以降から原料塩価格が上昇することが決定しているため、1月から即値上げはタイムスケジュール的に難しいにしても、4月頃から値上げに踏み切ると予想される。市販用塩大手のブランド商品はいずれも、国内塩と輸入塩を原料に再製・加工などを施して製品化しているため、国内塩と輸入塩の業務用が値上げする以上、特殊製法塩の値上げは避けられない情勢である。

市販用では最大手ブランドを保有する塩事業センターが来年4月1日出荷分から主力「食塩1kg」「食塩5kg」の約15~16%アップを含めて、「精製塩1kg」などセンター塩10商品の値上げを公表した。これを受けて、市場で競合する市販用塩を製造する特殊製法塩各社も来年度以降、値上げで追随することが確実な情勢となっている。

既に伯方塩業、青い海、マルニは来年度以降の値上げ方針を決定しているが、値上げ幅と時期については現在調整中。青い海によると「輸入原塩の上昇に加えて、運賃は20%上昇、燃料費(ガス)は30%上昇している」(同社)と値上げせざるを得ない理由を説明する。天塩は現在「検討中」だが、値上げは不可避と推測される。あらしおは「値上げの方向で来年度以降に検討している」としている。

「瀬戸のほんじお」を販売する味の素に関しても、競合他社の状況を見て値上げに動く公算が大きいと予想できる。輸入商社では、白松がフランス産「ロレーヌ岩塩」の値上げ実施を決めており、その他の商品についても物流費アップを抑制する納入形態の見直しを含めた検討準備に着手する。

イオン交換膜製法の国内塩の特殊製法塩部門も値上げに動く様相が高まっている。日本海水はNB商品を来年4月から順次8~12%値上げする案内を12月1日から始めた。PBに関しても契約上の問題もあるが、順次値上げを交渉していく。日本海水NB商品はセンター塩と競合関係にあるだけに、同社の値上げ表明は業界全体に値上げが波及する追い風となろう。

鳴門塩業も「適正価格への改定を検討している」とし、ダイヤソルト子会社菱塩は「値上げも視野に、さらなるコストダウンに努める」とする。ナイカイ塩業は関連会社日本家庭用塩がOEMのためコメントを控えている。輸入塩では日本精塩が既に業務用の値上げを来年1月1日より5.5円/kgで発表済みだが、家庭用に関してもコストアップの情勢は変わらず、値上げの可能性が高いと予想される。

以上のように、輸入塩や国内塩を原料に加工した特殊製法塩大手各社は値上げを実施もしくは検討しており、消費増税前のタイミングからすれば、軒並み4~7月頃に値上げが集中するものと予想される。

塩が値上げをする背景には、ここ数年の間にコストが膨らんできたものを吸収する狙いがある。塩は基礎調味料として家庭や食品製造になくてはならない存在であり、価格が乱高下するのは必ずしも望ましくないが、コストウエイトの高い燃料費と物流費が上昇し、メーカー各社はここ数年板挟み状態で喘いできた。

そして何より、他食品と違うのは、製造設備の痛みが早くコストが非常にかかること。工場の修繕費は、相当な金額を毎年かけなければ安全・安心な商品の供給を継続できない。消費者の安全・安心ニーズの高まりに応えるためにも、今後の価格改定は避けて通れない情勢にある。

なお、特殊製法塩大手の動向次第では、今のところ沈黙している離島製塩など中小企業の国内メーカーまで価格や規格変更、納入形態の見直しに波及する可能性もある。