茶産地の厳しさ増す 量の確保に走った生産者「地獄の釜が開いた」 さばききれぬ在庫の山

「地獄の釜の蓋が開いてしまった」――。今年の静岡茶業界をこう表現する茶商もいるほど、生産者や茶商にとって厳しいシーズンだった。16、17年と茶価は安定し大方が底を打ったと判断していたが、18年産一番茶の平均価格は20%ほど下落した。生産量は10~20%ほど増えたが、リーフ(茶葉)需要の下落幅が今年はさらに大きくなり、ほとんどの茶商がさばききれない大量の在庫を抱えている。来シーズンが例年並みの生産量となれば、誰が買うんだという話に茶業界はなっている。

一番茶の平均価格は、静岡茶市場で23%減(1千519円)、鹿児島茶市場で18%減(1千844円)だった。天候要因もあり生産量は増え、両市場の取扱量は静岡が24%増(1千305t)、鹿児島は10%増(4千878t)。需要は急須離れが進む一方で、毎年3%減程度で推移してきたリーフ(茶葉)市場は、今期6~7%減での着地も見えている。

ここ何年にもわたり、中元・歳暮や葬儀などのギフト関連市場の縮小が進んだ結果、1kg3千円以上の高級茶葉の行き先がなくなり、1千円台の茶葉に買いが集中している。お茶は同じ木でも、摘採時期を早めミル芽(柔らかい新芽)で摘めば高級茶になり、伸ばして遅く摘めば品質は落ちるが収量が増える。高級茶が売れなくなったため生産者は摘採時期を遅らせて量を増やし、反当たりの収益確保に動く。

さらに今年は、摘採期に暖かい日が続き新芽が一気に大きくなったという天候要因も重なって生産量は一気に増えた。需要が細っているところへ、供給量が2割も増えれば1日で2~3千円以上値を下げるほど価格は暴落し、なおかつ行き場がない大量の在庫となる。

1千円台の茶葉に買いが集中しているといっても、以前なら2千円以上の値を付けていた品質のものが1千円台まで下がっている。辛うじて1千円台を維持していた一番茶の下ものが、今年は850円まで下がった産地が散見された。

静岡県内の大手茶商によれば、今の需給バランスなら来年の一番茶は1千~1千200円、2番茶が600円、秋冬番が400円という平均価格になることも考えられるという。リーフの需要が上向かない限り、茶産地の状況は厳しさを増すばかりだ。