〈徳之島コーヒー〉爪痕残しつつも前進 風速67m 最大級の台風直撃

徳之島コーヒー支援プロジェクトが過去最大級となった台風の爪痕を残しつつも前進している。

9月末日、台風24号が徳之島(鹿児島県大島郡)を直撃。主要生産地である南端の伊仙町では、観測史上最大風速に達し、その威力は岩石を海から畑へと押し上げるほどの凄まじいものであった。停電と断水は一週間続き、約400棟の牛舎が全壊・半壊した。

政府 伊仙町を局地激甚災害に指定

伊仙町によると被害総額は見積もり段階で農業が4億~5億円、港湾関係で6億6千万円。被害の全容が徐々に明るみになったことを受け、政府は今月15日、伊仙町を局地激甚災害に指定した。

大久保明町長(鹿児島県大島郡伊仙町)
大久保明町長(鹿児島県大島郡伊仙町)

23日、取材に応じた大久保明伊仙町長は「試験場の測定では風速67mを観測し、ご高齢の方の話でも今回の台風が一番酷かったという。こうした中でコーヒーはよく残ったと思う。昔だったら全滅だったので私は『いける』と楽観的に考えている」と語る。

徳之島コーヒー生産者会の吉玉誠一代表も「今回の台風は勉強になった。風の吹く方向が分からず苦労した。味の素AGFの社員も駆け付けてくれて支えになっている」と前向きな姿勢。吉玉農園では、想定外の南側からの風でいくつかのコーヒーの成木がなぎ倒されたものの、全体で7割弱が残った。被災後、新たに40本の苗木を植え、倒された成木については今後、カットバックという手法を用いて再生に挑む。

今回の台風24号では、防風林で一定の成果が見られた。平地に近い農園を防風林で囲みコーヒーの木の周囲に千年木(せんねんぼく)を植える泉延吉さんは「実はかなり落ちたが木は2本くらいしか折れなかった」と述べる。

吉玉誠一代表(吉玉農園)と新稙した苗木

そのほか、強固な防風林に囲まれる芳村建吉さんの農園や、窪地にある幸野平太郎さんのビニールハウスはほぼ無傷であった。

8年前の台風で2千500本を全滅させた宮出博史さんは、ガーデンスタイルとセミフォレストの手法を採用したことで被害を伊仙町にあるガーデンスタイル農園内の1本に留めた。「防風ネットのかいなく2千500本を全滅させた時、隣のおじいちゃんに言われたのが『自然の猛威には自然の力で風をいなす』ということ。全滅させたその日から森づくりに励んだ」と振り返る。

ガーデンスタイルでは、10m以上の防風林で畑を囲み、コーヒーの木は風の影響を受けにくいように高さ2mを上限に切断。さらに、若木のうちに幹を人工的に横倒しにして防風対策を行っている。「逆転の発想で、台風にやられる前に倒してしまう。完熟豆の糖度への影響は全くない」と説明する。

なお、AGFコーヒー実証農場は、補植・新植が施され現在190本の苗木が栽培されている。

泉延吉さん
泉延吉さん
芳村建吉さん
芳村建吉さん
宮出博史さん
宮出博史さん