メーカー − 卸間物流 リードタイム緩和の動き 日清食品が先行実施

食品メーカーの中に受注から納品までの物流リードタイムを延長する動きが出てきた。日清食品が今年1月に受注締めを納品前日から前々日に切り換えたのに続き、大手1社が最需要期に当たる来月から同様の条件改定を行う方向で食品卸各社と調整を進めている。背景にはトラックドライバーと庫内作業員の不足問題がある。先行する日清食品に実施状況をヒアリングするメーカーもあり、物流持続性の向上に向けた取り組みに発展しそうだ。

日清食品はドライバー不足が深刻化した14年度から物流の生産性向上に着手。即席麺特有のバラ積み輸送によって生じる荷積み・荷卸し負荷の抑制に向け、工場―営業倉庫間の幹線輸送分野でパレット積み輸送への切り換えを急ピッチで進めてきた。今年10月に輸送用パレットへの積み付けなどに対応する関西工場が一次稼働を迎えたことで、今後は全国でパレット方式に移行する準備が整う見通しだ。

しかし、運送・荷役を手がける物流パートナーからは営業倉庫―得意先センター間の二次配送分野でも早急な合理化を求められている。その一環として昨年から物量の多い特売便や新商品初回納品などでテスト的に卸へのパレット積み配送を実施。さらに今年1月には今まで繁忙期限定で実施していた「中1日受注」(納品前々日受注)の通年化に踏み切った。

小売業の卸への物流要求が高度化した80年代後半以降、メーカー―卸間でも納品前日受注が一般化しているが、この短納期方式はメーカー側の営業倉庫に負荷が生じやすい。卸への納品を終えた車両が昼頃に帰庫してくるのに対し、倉庫側が午前中に締め切った受注を確定させてピッキング作業に入るのは14時頃、車両への積み込み開始は15~16時頃になるからだ。これによってドライバーに3~4時間程度の待ち時間が恒常的に発生するほか、庫内作業も午前中の入荷業務と午後の出荷業務の間に長い空きが生じてしまう。

その打開策として日清食品は15年以降、荷量が跳ね上がる12月に限り中1日受注を実施。午前中に入庫を終え翌日納品分のピッキングを開始し、車両の帰庫と同時に積み込みを実施できる環境が整ったことで「物流パートナーの12月の残業・拘束時間は最需要期にも関わらず平月よりも短くなった」(日清食品SCM部部長・清水登氏)。この成果を受け、今年は卸側の理解を得て通年実施に移行。大量の追加受注等の混乱もなく、物流パートナーの生産性向上と労務環境改善が着実に進んでいる。

トラックドライバーと庫内作業員の不足が深刻化する中、物流業者の中には煩雑で待機時間の長い食品の取り扱いを敬遠する動きもある。特に今夏は自然災害の多発によってあらゆる産業でトラックの争奪戦となり、業務負荷の高い食品物流は窮地に追い込まれた。

今年は食品卸業界が入荷車両の待機時間削減に向けて標準入荷予約・受付システムの開発に踏み切るなど、是正の動きが広がっているが、抜本的な改善には80~90年代に定着した短納期・小口・多頻度等の物流条件の見直しが欠かせない。

こうした中、食品製配販有力7社(味の素、キユーピー、三菱食品、加藤産業、マルエツ、カスミ、CGCジャパン)は今年4月に「持続可能な加工食品物流検討会」を発足。初期の活動テーマを物流リードタイムの緩和に絞り込み、製配販各層に与える効果と課題の洗い出しを進めている。今後は全体最適の観点からこうした業界活動にもスポットが当たりそうだ。