若者に抹茶本来の甘さを 身近で手頃な新ブランド 伊藤園 

伊藤園は抹茶の新ブランド「四方の春」を立ち上げ国内外で抹茶事業の成長を加速させる。抹茶は、碾(てん)茶を原料とし、摘採前に日光を人工的に遮ることでカテキンの量を抑え、うま味・甘味成分であるテアニンを多く含んでいるのが特徴。正確な統計がないため市場規模は不明瞭だが、生産量・売上規模ともに拡大傾向にあるという。伊藤園の推計によると、抹茶市場は一番茶以外の時期に摘まれる碾茶を含めて18年に5千800t(208億円)を見込み、以降、年率10%近く伸び続けるとみている。この中で伊藤園は現況約1割のシェアを中長期に約5割へと引き上げていく。

メーンターゲットは20~30代の若年層。19日、都内で発表した社三雄専務取締役マーケティング本部長は、新ブランド開発の経緯について「抹茶が世界で賞賛されており、今後は若い人たちが”体にもよく、おいしい”ということを発見していく時代になる。あまりにもフォーマルだとなかなか一般の方が入りにくいため、抹茶をもっと身近で手軽においしく楽しんでもらえる術を研究してきた」と説明した。

目標については「年率10%近くの市場成長を見越しながら、26か27年には5割くらいのシェアにしていきたい。野心的というよりも、むしろお客さまと一緒に楽しみながらやっていきたい」と語った。

抹茶商品群。ゆくゆくは全て「四方の春」ブランドに統合予定
抹茶商品群。ゆくゆくは全て「四方の春」ブランドに統合予定

主力アイテムは、「四方の春」を使用した緑茶飲料。茶葉は「従来の抹茶入り飲料に比べ1・5倍のグレード」(安田哲也マーケティング本部緑茶ブランドグループブランドマネジャー)。

当面は「お~いお茶」ブランドを併記したダブルブランドとして、飲料、ティーバッグ、リーフなどを展開していくが、将来はすべての抹茶・抹茶入り商品を「四方の春」ブランドに統一し、若年層の取り込みを図っていく。

「アメリカではソフトなエナジードリンクとして少しずつ広がっており、これを日本にも伝えていきたい。そう考えると『お~いお茶』を打ち出すのではなく、抹茶入りだから甘いというコミュニケーションを展開することで若い方を中心に幅広く飲んでもらえるのではないかと考えた」という。

中・高年齢層に向けては健康価値を訴求していく。同社は、抹茶の継続摂取で健常中高年者の認知機能の一部が改善することを、ヒトを対象とした臨床試験で確認。今後は「まさにスーパーフードであることをしっかりPRし、健康訴求をした新商品も検討していく」考え。

供給体制を整えアメリカを中心に中国、欧州など海外展開も加速させる。「海外の引き合いは莫大なものがあり、生産能力を遥かに上回る数のオーダーが入る可能性が常にある。これまで海外には100t規模でしか対応できていなかったが、諸外国の厳しい残留農薬基準への準備を約10年かけて行い、今後さらに対応できるようになった」(社専務)。

伊藤園は、京都1か所、静岡1か所、鹿児島4か所の計6か所の抹茶生産者と契約し、取扱量は現在、契約栽培を含めて550tに上る。