60か国のツーリスト 「ジャンボ」で大いに盛り上がる 品川宿は素敵なところ

外国人向けのゲストハウスで今夏、「チョコモナカジャンボ」が大いに盛り上がった。モナカの形状が自分の国にはなくどこから食べたらいいのか、「このパリパリ感は何だ」など、外国人にはかなり驚く要素の多いアイスクリームらしい。オーナーが外国人向けに、ジャンボを説明する資料を森永製菓に求めたところ、同社も興味を持ち不思議なコラボが始まった。

宿場ジャパン(渡邊崇志代表取締役)という法人が運営している「ゲストハウス品川宿」は、1泊3千500円から、個室でも4千円程度で泊まれる。食事の提供はなし。近くの食堂や赤ちょーちん、銭湯などに案内し、エリア全体を楽しんでもうのがコンセプト。1日最大23名が宿泊可能で、世界60か国からの旅行客があり、年間を通じて90%以上の稼働率だという。品川エリアで4件の直営宿泊施設があり、地方での開業支援も行っている。

もともとオーナーの渡邊さんがアイス好きで、ジャンボを冷蔵庫にストックしておいた。ゲストに「おいしそう」と言われ、「食べる?」とかで割ってあげたのがそもそものきっかけ。今年の夏は特に暑く、汗だくで来るゲストに無料でプレゼントしたのが始まり。評判がよく、近くのコンビニやスーパーで買ってはストックをしておいた。

ジャンボの一番いいところはシェアできること。ゲスト同士やスタッフとの交流で盛り上がることもゲストハウスの価値の一つだが、不慣れな外国ということもあり、チェックインの後部屋に入ったきりのゲストもいる。そんなとき、「アイスがあるから食べに来ない?」と誘い、取りに来たらパキッと割って「共有スペースで座って食べなよ」となって、「グッド」とか「デリーシャス」とかで会話が始る。アメリカはパイントが基本だとか、中国はアイスは小さいカップに入っているとか、ベルギーはチョコレートアイスが一番ポピュラーだとか、アイスがきっかけでゲスト同士で会話が始まり、アイスを食べた後みんなで焼鳥屋にいくきっかけになる。

パリパリの食感に興味を持つゲストも多く、渡邉さんはインターネットなどで集めた情報を元に説明していたが、ある日森永製菓に状況説明とともに資料が欲しいと手紙を出したところ、同社のマーケッター村田あづささんが品川宿を訪れた。

ゲストハウス品川宿(宿場ジャパン)

村田さんは今年4月まで、キャンディなどのマーケティング担当。ハイチュウは海外でも人気があり、アメリカではメジャーリーグのベンチにハイチュウが置かれ、選手が食べている写真がスポーツ新聞に掲載されたこともある。SNSなどで話題が拡散され、小さい頃から当たり前に食べていた菓子がメジャーリーガーも好きだとなると、「ハイチュウ凄い」となって久ぶりに買ってみる。そうすると、リニューアルを重ねているため、昔よりおいしいとなって継続効果があり、ユーザーの裾野も広がるという。

アイスはみやげに持って帰れず、輸出もできないため、海外で話題になることは難しいと思っていたところへ手紙が来た。たった1件のゲストハウスの話しだったが、そこは感度の高い旅行者が来るところ。口コミで、日本でこんな素敵な宿があったから行ってみればなどの情報が広まりやすい。ツアーの団体客と違い、情報発信力や受信力がある人達が来る場所がゲストハウスなので、高橋さんは取り組んでみようと思った。

英語版の、パリパリへのこだわりを伝える説明動画を作成し、品川宿にはサンプリングとしてジャンボの提供を始めた。時間はかかるかもしれないけれど、日本に行ったら食べたいアイスとしてジャンボの認知が広まることを期待している。そして、「知ってる?日本に来るとジャンボを食べる外人が多いんだって」となると面白いことが起こる。世の中には、遠い将来の可能性にかけるマーケティングもある。

11月になり寒くなってきたが、品川宿の冷蔵庫には、「パリパリアイス無料だよ」とスタッフが英語で書いたチラシが貼ってある。クールダウンだけでなく、コミュニケーションのきっかけとして秋も冬も大事なツールだ。