地方の悩み

日本海側でとれ、高級魚として知られている「のどぐろ」。煮ても焼いても、もちろん刺身としても、酒好きにはたまらない酒肴である。だが、漁獲量が減った今年は価格が高騰し、ますます高嶺の花になってしまった

▼産地の一つ、島根県では地元の業者が高過ぎて仕入れられなくなり、買い負けているという。「東京に出せば、いくら高くても買ってくれる」と地元問屋の社長は話す。今のように全国区でないころは、安く買える普通の魚だったそうだ

▼「地方では酒類の販売に手を焼く」。中四国に拠点を置く、広域卸の幹部が明かす。全国よりも高齢化が進行しているが、シニアは多くの量を飲まない。新たな受け皿となるべき若年層は周知の通り、酒離れと言われる。そもそも若者自体が少ない。もうすぐ解禁を迎えるボジョレー・ヌーヴォーも地方での盛り上がりはいまいち。コーナー化するスーパーも少なくなっているという

▼近ごろ新たにオープンするのは、ドラッグストアばかり。酒類も安売り競争の標的となっているものの、安くしたからといって、たくさん売れるわけではない。高過ぎて手の届かなくなった肴、安くなっても売れない酒。地方には地方の、尽きない悩みがある。