“日本水産 扱い魚種の資源状態調査” 大手水産企業で公表は初

日本水産(日水)の国内外グループが16年に取り扱った水産物資源のうち「資源状態の心配はないもの」は88%だった。9月28日の会見で的埜明世社長が明らかにした。

これはグループが掲げるCSR重要課題「豊かな海を守り、持続可能な水産資源の利用と調達を推進する」に基づき、グループ企業計45社(日水およびグループ国内28社、海外16社)を対象に調査を行った結果だ。水産会社や商社の大手として公表するのは「恐らく初めて」(的埜社長)だが「透明性確保のため、あえて発表した」(同)と話す。資源状態について学者間でも意見が割れ、また独自に評価することは「一企業では難しい」(同)ことから評価などはしなかった。

世界的に魚の需要が高まる中、天然魚の漁獲量は毎年8千万t前後で推移しており、需要増は養殖でカバーしている状況だが、さらなる需要の高まりが想定されており、資源状態が危惧されている。

日水の16年調達数量は約160万t(原魚換算重量)で世界漁獲量の1・6%相当。取扱魚種は約450学名、うち天然魚は93%、養殖魚は7%。

今回調査した天然魚(151万4千665t)の中で「資源状態の心配はない」とされた88%(133万3千301t)のうち、海のエコラベルと言われるMSCなどの認証品は37%。「心配ある」は3%(5万1千18t)、不明は9%(13万345t)。調査はFAOのデータを主とし、カバーしきれないものはNGOのデータなどを用いた。不明なものについては、調査元の企業が個別に確認した。なお、日水は養殖事業にも注力しているが、白身魚や高級魚が多いこともあり全体の7%にとどまる。

課題となるのは「心配・不明」とされた12%への対応だ。前橋知之執行役員は「今回の調査で取り扱いをやめたものはない」としつつも「資源回復計画、漁業管理のないものについては、将来的にやめなければならないだろう」と話す。ただ、確認できないなどの魚種は、同社では最終製品として利用されているものは少なく、停止しても売上げが減少することはないとみる。

今後について的埜社長は「(世界大手水産企業で組織する)シーボスなどの国際的な団体と連携して資源調査や規制を依頼し、また資金援助なども検討する」といい、「単独ではできないが、シーボスを通じて各国政府に働きかけていきたい」と意欲をみせた。調査については、数年ごとに行いたいとしている。