荷待ち改善へ新施策 卸向け入荷受付システム完成 日食協

全体最適重視の共同利用型 来月から普及推進

日本加工食品卸協会(日食協)は卸物流拠点向けのクラウド型トラック入荷受付・予約システムを完成させた。入荷時間帯の事前予約や拠点に到着したトラックの円滑な誘導によってドライバー待機時間の削減につなげるもの。今月から大手卸3社の中核センターで実証実験が始まっており、早ければ10月にも普及拡大に乗り出す。

ドライバー不足が年々深刻化する中、国土交通省は15年のトラック下請ガイドラインの改正を皮切りに、食品卸などの着荷主にドライバー待機時間の改善を求めている。ドライバーを運ぶ業務に集中させ、生産性と賃金を引き上げるのが狙いだ。

ドライバーのスマホ端末などと連動した入荷受付システムはその切り札と目され、既に国分グループや日本アクセスが一部拠点への導入を進めている。しかし、消費財物流の有力着荷主である食品卸各社がそれぞれ異なるシステムを採用した場合、発荷主側のメーカーやドライバーに納品先ごとの個別対応が生じる。

日食協物流問題研究会はこの問題を重視し、昨秋の会合で標準システムの早期整備を提言。今年1月、同計画が農林水産省の補助事業(食品産業等生産性向上緊急支援事業)に認定され、物流問題研究会管下のプロジェクトチーム(物流効率化専門部会、座長=伊藤忠食品ロジスティクス本部副本部長・神山浩二氏)と協力ベンダーの富士通が開発を急ピッチで進めてきた。

日食協が業界向け物流関連システムの開発・運用を手がけるのは初。ドライバーのスマホなどと連動し、入構車両を空きバースに効率的に誘導する仕組みは既存の入荷受付システムと同様だが、業界共有システムならではの全体最適機能も設けた。

最大のポイントは発荷主側の運行管理者らがドライバー情報をシステムに一度登録すると、システムを利用する卸各社で当該情報を共有できる名寄せ機能を取り入れたことだ。メーカーの商品を運ぶドライバーは複数の卸を巡回するケースが多く、名寄せ機能によって届け先ごとの登録・メンテナンス負担を解消できる。同機能は特許申請済み。

新システムの早期普及に向け、三菱食品・加藤産業・伊藤忠食品は首都圏の中核センターで今月上旬から実証実験を開始。今月中に結果を持ち寄って効果検証を行い、早ければ10月にも賛助会員メーカーを含む会員各社へのサービス提供に踏み切る。料金は既存システムに比べ割安な利用拠点数に応じた定額制となる見通しだ。日食協への加入を前提に異業種へのサービス提供も検討する。システムの詳細は今月26~28日に東京ビッグサイトで開催される日食協主催の食品物流総合展示会「フードディストリビューション2018」で正式に披露される。

業界最大の物流拠点を持つ日本アクセスは今年からWMSと連動した独自の入荷受付システムを汎用センターに順次導入しているが、同社取締役常務執行役員ロジスティクス管掌の宇佐美文俊氏は今春の本紙取材で「受託専用センターでは日食協システムの導入も視野に入れる」と述べており、同社を含む大手食品卸に急速に普及する可能性がある。

なお、新システムには発荷主側の運行管理者らが納品時間を事前にオンラインで予約する機能が実装されているが、これによって卸側の入荷開始時間に予約が集中する恐れもある。このため、まずは卸側が入荷受付機能を使って時間帯ごとの待機状況などを把握し、その上でカテゴリーごとに入荷時間枠を設けるなど、平準化の工夫が必要だ。

新システムに使ったこれら入荷フローの段階的改善により、日食協は平均1時間45分とされるドライバー待機時間(国土交通省15年調査)を食品卸業界全体で30%削減する方針だ。