旭食品 下田商事 共同物流が軌道化 コスト下げ小口配送継続

旭食品と東京の有力乾物専業卸・下田商事の共同物流が順調に成果を挙げている。下田商事のすべての汎用在庫を旭食品東京支社管轄の汎用センターに置き、専用センターを持たない関東圏のスーパーなどに共同で配送するもので、昨年3月の運用開始以降、拠点稼働率とトラックの積載効率が大幅に改善している。効率重視の大手全国卸が避ける小口得意先への供給継続に向け、中堅2社が資本や競争のしがらみを超えて物流合理化に取り組むのは画期的。今後の卸企業間連携のモデルケースになりそうだ。

高まる車両積載率 中小SMへ安定供給可能に

関東では10年代に入り上位食品スーパーの物流再整備が加速。多くの常温専用センターが従来の通過型からピースピッキング機能を持つ在庫型に移行したことで、メーカーから専用センターへのケース直送比率が急速に上昇した。

この影響で卸汎用センターから専用センターへの小分け品等の供給数量は減少傾向にあり、上位スーパーとの取引に厚みを持つ商社系全国卸などは汎用センターの統廃合を急いでいる状況だ。

汎用センターの稼働率低下は中堅以下の食品卸各社にも共通する傾向だが、こうした卸は汎用物流機能を整理しづらい。専用センターを持たない中小得意先への各店配送を担っているからだ。

小商いを重視する国分グループ以外のほとんどの全国卸が小口取引を縮小させたことで、関東では現在、旭食品、下田商事、ユアサ・フナショク(千葉)、常洋水産(茨城)、ボーキ佐藤(福島)、群酒大成物産(群馬)などの中堅勢が地域に根ざした中小スーパーの品揃えを支える構図が一段と鮮明化している。

しかし、供給量の少ない中小チェーン向けの各店配送で卸が積載率を適正な水準に持っていくのは非常に難しい。卸各社は配送頻度を抑制するなど対策を講じているが、拠点稼働率の低下やドライバー不足による支払物流費の値上がりもあり、収益確保が至難の業となっている。

一般的に中小チェーンとの取引は大手チェーンに比べ粗利率が高いとされるが、「積載率との兼ね合いで限界利益が出ないこともある。フルライン化によって供給品目を広げてもコストがなかなか薄まらない」(旭食品常務取締役東京支社支社長・竹内慎氏)のが実情だ。

旭食品と下田商事の取り組みは、こうした各店配送の障害を共同で克服するもの。下田商事が得意先構成の似た旭食品に共同物流を打診、メーカーなど他社物流の代行による生産性向上を模索する旭食品がこれに応じた。

昨年3月の運用開始に合わせ、下田商事は埼玉県岩槻と神奈川県海老名の汎用センターを閉鎖。すべての汎用在庫を旭食品の3か所の汎用センター(岩槻、柏、梶が谷)に置き、旭食品のトラックで各店配送を共同で行う方式に切り替えた。

これによって旭食品各センターの拠点稼働率が改善したほか、共同配送便に関しては積載率が従来の約2倍(30%台→60%台)に上昇。物流費率の低下により、両社とも各店配送を安定的に継続できる体制に移行した。

下田商事が乾物の多品種少量ニーズに合わせた独自の汎用センターを長年運用してきたこともあり、「当初は切り換えによって庫内物流の小回り等に多少の課題が生じた」(下田商事代表取締役会長・下田英一氏)が、「コスト削減に加え、CO2の削減やドライバーの生産性向上といった社会的なプラスも大きい。資本や競争の枠を超えた新しい企業間連携のあり方を示せたと思う」(下田会長)。

旭食品東京支社は以前から低温分野で同業者との共同物流を行っているが、主力常温分野でのセンターの共同利用を含む大がかりな協業は初。「下田商事さんとの連携以降、関東の他の卸の方々からも共同物流の打診をいただいており、今後も戦略的に取り組む」(竹内常務)という。

恒常的なドライバー不足と物流費の上昇を受け、日本加工食品卸協会は昨年秋に卸業界向けの共同配送手引書を策定。以後、各店配送の継続が困難な地方を中心に同業者連携の機運が高まっているが、マッチングの難しさなどを理由に実施に至ったケースは少ない。地方を支える中小スーパーへの供給路を保つためにも、中堅クラスの地域卸・専業卸は共同物流方式への転換を急ぐ必要がある。旭食品と下田商事の事例がその起爆剤になりそうだ。