〈連載 キーコーヒー〉トアルコトラジャ最前線⑥ コーヒーに「2050年問題」 実験圃場で気候変動対策探る

地球温暖化で気候変動が続くと2050年にはアラビカ種の栽培適地が現在の50%にまで減少する――。

国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)はこう警鐘を鳴らし、これに対しキーコーヒーは16年4月にWCRとの協業を開始し直営のパダマラン農園の一角を実験圃場として提供している。

実験圃場は同農園の中でも高台に位置し、森を背景にした場所にある。2haの敷地にコロンビアやパナマなど世界各地を原産とする42種のコーヒーの苗木が植えられIMLVTと呼ばれる活動を行っている。

IMLVTはインターナショナル・マルチロケーション・バラエティ・トライアル(国際品種栽培試験)の略で、世界各地の品種の中から気候変動に耐えベストパフォーマンスを発揮する品種を探すプロジェクトを意味する。

IMLVTの目的について藤井宏和ファクトリーアドバイザーは「トラジャ地域に最適な品種を見つけることと、気候変動を見越して比較的多雨のトラジャ地域で生育の善し悪しを確認することにある」と説明する。

後者は、今まで少雨だった生産国の雨量が増えた場合、多雨のトラジャ地域でのデータの活用を想定。さまざまな地域環境で行われている試験結果を蓄積することで、おいしいコーヒーの永続的な供給へとつなげていく考えだ。

IMLVT試験のチェック項目には、早熟成、多収性、耐病性など生産者にとって重要な項目があるだけでなく、チェリーから輸出規格への歩留まりやコーヒーの風味の検査も予定されている。生産者向けに限らず、コーヒー業界そして生活者への価値提供まで踏み込んでいる試験であることから、成果を挙げたいと意気込んでいる。

河合啓輔前社長は協力農家への知見の活用に期待を寄せる。「研究成果を自社農園だけが抱えて全調達量の20%だけを改善しても意味がなく、協力農家から集買している残り80%も生産性や品質面など改善しなければならない」と述べる。

試験区は大別すると背の高い品種と背の低い品種に分かれ、品種別に列をなして植えられている。列の前方には標識があり、そこには品種・植えた本数・植樹した日が記されている。

若木は試験の厳格化のため日陰樹(シェードツリー)も植えており、遮光熱も大きな研究テーマとなっている。また、農家の実栽培に適応させる目的で若木とトウモロコシを混植し、日陰効果と食糧生産の貢献度など実践的なテストも独自に行われている。来年には、いくつかの木でコーヒーチェリーが実ることが見込まれる。(つづく)