スーパーのアプリ販促支援へ卸の商流機能フル活用 日本アクセスと博報堂PD

メニュー提案やメーカーとの販促商談仲介も

日本アクセスと博報堂プロダクツ(以下、博報堂PD)は小売業のスマホアプリ販促を支援する。博報堂PDのストアプリを導入するスーパーに商品の魅力や使い方を伝えるコンテンツを継続的に提供するほか、メーカー協賛クーポンを充実させ、潜在需要の掘り起こしと低価格に依存しない食品販売環境の構築を目指す。

新聞定期購読の減少に伴う折り込みチラシの効力低下を背景に、新たな販促媒体としてポイント会員向けのスマホアプリに注目するスーパーは多い。ID―POSの活用により、世代や家族構成、購買履歴といった客の特性に合った販促情報を発信できるほか、チラシやPOPで表現しづらい商品の価値や用途も伝達できるからだ。アプリ上で提供するクーポンの利用状況などもデータとして記録されるため、一律のチラシ販促に比べ販促効果を検証しやすいというメリットもある。

しかし、現状では「ポイント会員全体に占めるアプリ利用者の割合が1割を超えるスーパーはごく少数」(日本アクセス販売促進部販売促進課長・今津達也氏)にとどまる。

バイヤーが日々の業務と並行して商品紹介などのコンテンツを充実させるのは難しく、アプリの魅力が上がってこないのが要因だ。メーカーとの商談不足により、消費者を引きつけるメーカー協賛型のクーポンをタイムリーに提供できていないという事情もある。

日本アクセスと博報堂PDはこの問題に着目。既に博報堂プロダクツのアプリを導入済みの有力食品スーパー5社に対し、日本アクセスが恒常的な運用支援体制を組むとともに、他の得意先スーパーにもアプリの導入や既存アプリからの切り換えを共同で呼びかける。

スーパーの要望に合わせてカテゴリーの活性化などにつながるコンテンツを作成・提供するほか、連動クーポンの実施に向けてメーカーとの販促商談も仲介する。日本アクセスが豊富なマーケティング情報を持つ乾物のメニュー提案に加え、冷凍食品の未経験層にターゲットを絞り込んだ購買喚起の仕掛けなども検討中だ。

既にメーカーにもクーポン販促への参加を打診しており「潜在需要の掘り起こしを目指す冷凍食品メーカーなどから良好な反応を得ている」(日本アクセス執行役員総合企画管掌兼総合企画部長・中村洋幸氏)という。スマホアプリによるクーポン販促は効果測定が容易なため、販促費の効率的な運用を目指すメーカーからも注目されそうだ。

大手卸が既存の商流機能を活用して小売業の電子販促を全面的にサポートするのは初めて。スーパーがカテゴリーやメーカーごとに異なる食品卸を起用している関係上、日本アクセスが帳合を持たない分野で販促支援を求められるケースも想定されるが、「この場合は親会社の伊藤忠商事にメーカーとの商談を担ってもらい、両社で総合的にバックアップできる体制とする」(中村氏)。

日本アクセスは今年度を起点とする中期3カ年計画で次世代ビジネスへの取り組み強化を標榜。拡大が見込まれるEC分野の開拓に加え、既存得意先への新たなマーケティング機能の提供にも注力する。商流機能を絡めたアプリ戦略はその第1弾で、競合卸だけでなく、アプリのみを小売業に提供してきたシステムベンダーにとっても脅威になりそうだ。