アイス業界、猛暑で2ケタ増も意外と平穏 バタバタ感なく安定供給保つ

7月の10日過ぎから連日のように猛暑日が続き、気象庁は災害レベルの猛暑に備えるよう呼び掛けている。東京では、13日から34~35度の日が12日連続し、そのうち9日間が猛暑日という厳しさ。さぞやアイスクリーム業界は慌てまくっていると思いきや、一部の氷菓系メーカーを除き悠然と構えているメーカーがほとんど。25日現在で、出荷調整を行っている主力商品は数えるほどしかない。

7月の着地は2ケタ、10%増近くになると思われる。アイス業界にとって7月は年間販売額の15%近い700億円ほどの販売ボリュームがあり、この時期の2ケタ増は半端な数字ではない。それでも余裕が見られる理由は、この10年ほどで7~8月の最需期の売れ筋が氷菓系からクリーム系のアイスに代わり、各メーカーの主力商品の生産能力や瞬発力がかなり向上していることが挙げられる。氷菓系と違い通年型商品のため、備蓄計画も余裕を持って立てられる。

明治の「エッセル」、森永製菓の「チョコモナカジャンボ」、森永乳業の「パルム」、江崎グリコの「パピコ」、ロッテの「クーリッシュ」などが業界を代表するアイスだが、いずれも8月のお盆まで猛暑が続いたとしても、一部の出荷調整はあり得るが在庫切れから出荷停止になることはまずないとしている。

この2~3年SNSなどの影響から、品切れ、販売中止に追い込まれる商品が度々出て、人気のアイスは品切れが多いというイメージがあるが、それらはいずれも期間限定商品であり、主力商品の休売措置はまずなかった。各社がライン増強に取り組んだり、時間当たりの生産数量をアップさせ瞬発力を高めてきたことが大きい。

逆に氷菓系のアイスは、てんやわんやの騒ぎに陥っている。大手メーカーのほとんどが撤退したハード氷では、フタバ食品の「サクレレモン」に注文が殺到し、在庫がなくなったため23日で出荷停止となった。現在フル稼働で生産を続けているが、得意先に偏りなく公平に配荷できる数量を確保できるまで再開できないという状況。森永製菓の「アイスボックス」も7月いっぱいは出荷するものの、8月からは休売となる。中途半端な生産量で出荷すれば、届くチェーン、届かないチェーンが必ず現れ、配荷できなかったチェーンとのトラブルを避けるため全面的な休売措置を取らざるを得ない。

夏の風物詩ともなっている赤城乳業の「ガリガリ君」は、ソーダ以外にコーラ、グレープフルーツ、みかんなどのフレーバーをこれまで出荷調整もせず販売してきたが、危険水域の在庫量となってきたため、この先はソーダに絞った生産体制を取らざるを得なくなっている。また、グリコの「パピコ」もチョコとサワーに生産を集中させる。

このほか、氷菓系マルチでは出荷調整となっている商品や、休売のアナウンスを始めた商品が出てきた。ただ、物流での混乱は一部あるものの、クリーム系主力商品の供給に不安がないため、猛暑が続いている割にアイス業界は落ち着いている。