拡大するナチュラルチーズ市場 ブルー品薄の異常事態も

機能性でも注目

ナチュラルチーズ(以下、NC)が好調だ。2017年度の家庭用チーズ市場は、家飲みや内食志向を背景とする底堅い需要に支えられ前年比7~8%増で着地したが、NCは8%増となり、プロセスチーズ(6%増)の伸びを上回った。シュレッドの2ケタ増が牽引したが、認知症の予防効果が注目されたカマンベールが一過性のブームに陥ることなく前期も安定成長。モッツァレラやラクレットの定着等々、間口、奥行きが拡大している形だ。

今春、輸入チーズ業界関係者(インポーター)を驚かせる出来事が起こった。主役はブルーチーズ。3月末、ブルーチーズが血管年齢を若返らせるという内容のテレビ番組が放映されるやいなや需要が急増。ブルーチーズはそのほとんどが輸入物で、数量も限られているが、テレビ報道を受け、健康情報に敏感なシニア層が殺到したため4月から5月にかけて品薄となり、インポーターには常連からのクレームが殺到する異常事態となった。

ブルーチーズは青カビチーズ独特の香りもあり、白カビタイプのカマンベールやフレッシュタイプのモッツァレラなどと比べ、日本人には敷居が高いとされてきたが、健康機能に対するニーズは、これまでの業界の常識をも打ち破った形だ。

健康機能という点でブルーチーズに先んじたカマンベールは、既にブーム到来から1年以上が経過しているものの、17年度も前年比1%増となり、2ケタ増となった16年度からさらに成長した。

国内のカマンベールは、雪印メグミルクと明治が中心だが、雪印メグミルクの17年度実績は前年並み、明治が5%減。いずれも前々期2ケタ伸長し、前期は安定供給を優先した上での数字。実際、品薄をカバーすべく、輸入物で販促を打つ小売も現れる事態となった。

こうした状況を受け、明治は新規設備投資によりカマンベールの生産能力を従来の1.5倍に増強。今下期からの本格稼働をにらみ、店頭でも攻勢をかける構え。

雪印メグミルクを例に取ると、カマンベールは100g、税別500円。これに対し、スライス(7枚入り)126g360円、6P108g365円、「さけるチーズ」50g220円など。ここ数年のカマンベールの伸びや、春先のブルーチーズの動向からは、価格に左右されない購買層の広がりが浮かび上がる。

カマンベール、ブルーチーズ以外でも、カプレーゼ提案が受け入れられたモッツァレラや鉄板で野菜などと一緒に焼くという食べ方のラクレット、冬場のチーズフォンデュなど、簡便性やインスタ映え要素もあり定着してきた。

食卓に定着なるか 「ブロックも動けば本物」

半面、今後に向けた課題もある。「小売店でもNC売場が定着してきたが、現在はおつまみ向けのバラエティーもの、小容量のカットものが主流。例えばコーダチーズのブロックが購入されるようになれば本物」(商社)といった声が聞かれる。カットものが好まれる背景には、おつまみニーズに加え、食べ切りニーズがあるものとみられる。同容量(100g)のカマンベールでも、ホールより割高な個包装タイプが好まれるという。この辺りについては、「切るのが面倒」という簡便志向もあるが、ロスを懸念するという要素も無視できない。

ブルーチーズやラクレットなど強烈な個性を持つNCが受け入れられ、カマンベールのような高単価商品が好調に推移しているが、さらなる消費拡大には、料理素材や調味料など幅広い活用法の周知、認知拡大に向けたプロモーションが欠かせない。NCを日本の食卓にしっかり根付かせるためのポイントとなりそうだ。