アサヒ飲料 岸上社長が飲料業界の展望語る 強まる社会ニーズに対応を

アサヒ飲料の岸上克彦社長は6月28日、東京ビッグサイトで開かれた業界関係者のための商談展「第3回ドリンクジャパン」で基調講演を行い、持続的成長をしてきた飲料の歴史やロングセラーブランドの共通点、今後のさらなる持続的な成長について語った。

岸上社長は、飲料業界が発展したターニングポイントを1996年の国産小型PETの解禁にあるとした。それまで環境負荷の観点から1リットル未満のPETの販売を業界内で自粛。そのため家庭内需要にとどまっていたが、小型PETが解禁されたことで持ち運びが可能となり、家庭外需要の掘り起こしにつながり拡大の一途をたどる。

このように成長を遂げていく一方、課題としてまず挙げたのが販売価格の下落。「販売価格の下落はブランド価値の低下につながり、再投資による社会への貢献が弱まるほか、仕事の満足度や企業体力の低下につながる」と語った。

そのほかの課題としては、容器・容量の多様化による物流効率の悪化や食品ロスの増加、商品ライフサイクルの短命化を挙げた。これらの課題解決の1つが商品価値・ブランド力の向上にあるとし、「ブランドを磨き続け、ブランドを骨太化し、長く生き続けていくことにある」と述べた。

講演会の様子(第3回ドリンクジャパン)

「三ツ矢」(発売134周年)、「ウィルキンソン」(発売114周年)、「カルピス」(発売99周年)の同社ロングセラーブランドを引き合いに出し、

①日本生まれ日本育ち
②自然の恵みが由来
③長い歴史の中でそれぞれブランドを磨きながら新しい価値を創出

――の3つの共通点があることを紹介した。

ロングセラーであるがゆえに過去には販売低迷期もあり、そのような時には「改めてブランドの価値を整理した」。

今後の持続的な成長に向けては「今までよりも要請は強く、厳しく、広くなっている」社会ニーズへの対応やソフト面でのイノベーションを挙げた。イノベーションについては自動車の自動運転化やドローンによるGPS機能の強化といった、ハード面の変化に対応したソフト面の変化が肝要だとした。

働き方改革もその一例であるとし、「勤務時間やオフィスにとらわれない働き方へと変わっていくことで飲用時間や飲用場所も変わってくる。一歩先の価値を提案するソフト面でのイノベーションが大切」と説明した。

飲料業界各社が社会課題の解決や業界の発展を念頭に置きながらビジネスを行うことで、そのような利他の精神の総和が大きな力となり社会や業界に貢献する“協創”の考え方も提唱した。