梅酒 減少続くも再び活性化か 付加価値商品に伸長の芽

日本の代表的なリキュールと言われる梅酒は、やや厳しい市況が続いている。ただ、1~4月は減少幅が縮まる傾向があり「ニーズの把握や提案次第で、今年は良い方向へ向かうかもしれない」との声も聞かれる。梅酒市場は11年がピークで、14年以降は緩やかに減少。350億円前後の規模と言われる。高齢化による飲酒量の減少や若者の酒離れが背景として指摘されているが、より直接的な要因として他のリキュール類、中でも缶チューハイ(RTD)の伸長が挙げられる。フレーバーや度数が多様な上、安価でもあることから大きく広がっている。対する梅酒は「高価ではないが安くもない商品が多い。RTDほど多様性がなく、減少分の多くはRTDに食われたのだろう」とみる関係者は多い。

日本洋酒酒造組合が組合員から報告された出荷数量を元に集計した移出数量によると、昨年は前年比95・1%で着地したが、今年は1月と4月が前年同月を超えており、4月までの累計は97・4%となった。減少幅が縮まったとはいえ前年を割っていることから良い状況とはいえないものの「やり方次第では活性化できるかも」と期待の声もある。

20代女性では好きな酒の1位は梅酒、同男性でも3位、30代女性でも2位に入るという調査結果(リクルートライフスタイル調べ)もあり、酒類業界全体の課題である若年層へのリーチも可能かも知れない。業務用では「若い女性が再び梅酒に注目する兆しもある」としており、期待したいところだ。

若年層に限らないが、特に熟成タイプや機能系など付加価値のある商品にニーズがあるとみられている。チョーヤ梅酒は熟成とブレンドをキーとした「ザ・チョーヤ」シリーズを展開。CMや東京を中心とした交通広告を展開して昨年も2ケタ以上の伸びだ。

また、ソーダで割った缶製品「ウメッシュ」は価格の点では厳しいものの味への評価は高い。サッポロビールが展開するポリフェノール量を増やした「赤梅酒」など機能を添加した商品も伸長している。

業務用では「ロックやソーダ割りといった一般的な飲み方以外の提案が響きやすくなってきた」との声も複数聞こえる。

アサヒビールは積極的な飲み方提案を進めている。2月に刷新した「濃醇梅酒」では飲食店向けに梅酒をベースにフルーツを入れ、専用カラフェで提供できる”梅カラ”や、180mlボトルごと氷で冷やして提供する”冷ゃっ濃い梅酒”をキットで提案。刷新品は度数を12%から10%へ下げたことでストレート飲用も想定する。特に”冷ゃっ濃い梅酒”はボトルクーラーごと提供できるため、人手不足に悩む店舗オペレーションの軽減にも役立つとみる。

さらに梅酒ソーダに少量のウイスキーをフロートしたプレミアムな“ウメミアムハイボール”“ウメミアムロック”も飲み方の一つとして提案を進める。

宝酒造では「和三盆梅酒」が堅調。同社ラインアップをWebで紹介するなどして訴求を図る。チョーヤ梅酒では体験の場として京都に梅体験専門店「蝶矢」を、また6月には期間限定で東京・渋谷に体験ショップをオープンし訴求を図った。

ただ、チョーヤ梅酒のような専業やそれに近いメーカーは別として、他酒類も展開するメーカーからは「全酒類市場での構成比が小さい梅酒には手が回り切らない」との声も聞こえる。

一方で狭義の梅酒に限定しない展開への期待もある。サッポロビールの「ウメカク果実仕立ての梅酒カクテル」のような「現代的な見せ方」(関係者)で認知が進めば「“梅酒”という言葉にとらわれない梅酒で、新たな展開を図れるかも」との意見も聞かれ、厳しいながらも「先への期待は持てる」との声は少なくない。