メーカーも「NO」 総額表示復活問題 複数団体が反対表明準備

政府が次期消費増税(19年10月予定)に合わせて総額表示の推奨を検討していることに対し、食品メーカーが反発を強めている。今月7日に食品産業センターが税別表示の恒久化を柱とする要請文書を茂木敏充内閣府特命担当大臣に提出したのに呼応し、複数の加工食品製造団体が政府に同様の要請を行う方針を固めた。メーカーの意思表示により、価格表示を巡る政府と食品製配販三層の攻防は一段と激しさを増しそうだ。

政府による総額表示の推奨は次期消費増税時の需要変動対策の一環として4月発足の関係省庁会議(消費税率引上げによる需要変動の平準化に関するタスクフォース)で実施が検討されているもの。イギリス型の内税表記によって増税に対する消費者の過敏な反応を抑制するのが狙いとされる。

この問題が5月上旬から中旬にかけて本紙を含む新聞各紙で報じられると、現行の税別表示を高く評価する食品流通業界は一斉に反発。新日本スーパーマーケット協会の増井德太郎副会長は同月22日の記者会見で「小売業に税額を吸収させて(消費者の)税負担を薄くしようという思惑だ。本件に関しては各スーパー団体も“またデフレに引き込むのか”という見解で一致していると思う」と述べ、時限立法(消費税転嫁対策特別措置法)で認められた税別表示の恒久化に向け、他団体との連携に乗り出す考えを示した。

00年代に末端売価の下落と買い叩きを誘発した総額表示に対する抵抗感は食品メーカーの中にも根強い。このため、政府の動きが明らかになると、食品産業センターにはこの問題への見解を求めるメーカーなどの問い合わせが相次いだ。

これを受け、センターは現行の消費税転嫁対策の継続と外税表示の恒久化を柱とする先の要請文書を内閣府特命担当大臣に提出するとともに、当該文書の全文をホームページ並びにフェイスブックで公開。毎年この時期に行っている流通8団体への年次取引慣行実態調査報告と合わせ、総額表示問題に関する意見交換を行った。

政府が予定する需要変動対策の中には、先の時限立法で禁止した消費税還元セールの解禁なども含まれており、これに対する各流通団体の反応は微妙に異なるようだが、「外税表示の恒久化という点では考え方が一致しており、将来的に一緒に(要請活動に)取り組みましょうという団体もあった」(食品産業センター企画調査部長・武石徹氏)という。

センターがいち早く要請文書の提出・開示に踏み切ったのを受け、価格問題に敏感な複数の加工食品製造団体も主体的な要請を行う方針を固め、内部調整を進めているという。これらメーカー・小売の動きに加え、全国食品卸団体の日本加工食品卸協会も外税表示の恒久化を継続的に求めていることから、今後は事態打開に向けて食品製配販全層の足並みが揃うとみられる。

政府は15日に閣議決定された経済財政基本方針(通称「骨太の方針2018」)に価格表示に関する記述を盛り込むことを避けたが、次期消費増税時の需要平準化策として「需要に応じて事業者のそれぞれの判断によって価格の設定が自由に行われることで、駆け込み需要・反動減が抑制されるよう、その方策について、具体的に検討する」と明記しており、事業者による増税額の吸収を促進する姿勢を崩していない。

これは最終受益者である消費者による税負担という消費税法の原則を根底から覆す動きであり、この流れの中で総額表示が復活した場合、表示価格の上昇による消費減退とその回避に向けた価格引き下げが長期化するのは必定だ。食品製配販各社は強い危機感をもって政府の動向を注視する必要がある。

なお、内閣官房ホームページの「消費税率引上げによる需要変動の平準化に関するタスクフォース」のページは、4月13日の第1回開催報告を最後に更新されていない。