焼酎、レモンサワーが甲類下支え 乙類も苦境脱却へ仕掛け

長期下落傾向にあると言われる焼酎だが、レモンサワーブームの広がりで甲類はやや盛り返しの様相だ。一方で乙類(本格焼酎)は話題に乏しく厳しい市況が続いているが、大手メーカーが業務用で仕掛けるなど脱却への動きも見られる。

昨年(1~12月)の焼酎課税移出数量は甲類が前年比98.8%、乙類が98.4%。ロイヤルユーザーが支え新規ユーザーが少なく、市場に動きが乏しいとされていたが、甲類についてはレモンサワーブームもあり減少幅が縮まったという。

昨年施行の新取引基準により店頭価格が上昇した影響も多少はあったと言われるが、「複合的な要因で下落しているので影響ははっきりしない」との見方が大勢だ。

甲類では数年前から東京の下町で始まったとされるレモンサワーが首都圏を中心にブームとなり下支えしている。当初は一過性とみられたが継続的に拡大、地方へ徐々に広がる様相を見せ始めており「甲類はベース素材としての潜在性を再び発揮し始めているのでは」との声も聞こえる。業務用が中心で、飲食店がこだわった分だけ売価にも反映しやすいが、サントリーが「レモンサワーの素」を発売するなど家庭用にも動きがあり、浸透すれば活性化につながると期待されている。

ユーザーは従来の焼酎ユーザーとは異なるとみられ、比較的若い層も手に取っている。レモンの使い方やベース焼酎ごとに複数商品を揃えられ、多様な食との相性訴求に便利だ。平均アルコール度数4~5%で提供されており、幅広い層が手に取りやすいことも受け入れられる要因だ。このブームで「甲類はまだひと踏ん張りできる」と期待は高まっている。

一方で乙類では霧島酒造の1強は変わらず、出口を見いだしにくい状況ではあるが、昨年はアサヒビールが投入した乙類「金黒」が好評となるなど暗い話題ばかりではない。市場は厳しいが、「特徴を飲食店や消費者に伝える活動をやり切れれば伸長の可能性はある」との声は多い。

懸念されるのは原料価格の高騰だ。新基準の影響以上に価格が上がれば「食品値上げの影響をまともに受け、需要減につながる」と心配する関係者も。「去年は持ちこたえたが、今年の後半頃から、よりきつくなるのでは」と不安を語る。

各社も手をこまねいているわけではない。宝酒造は乙類では戦略的資源を「一刻者」に集中、品質優位性や香りを訴求する。甲類ではレモンサワー拡大などに注力する。霧島酒造は“黒キリ20周年”ロゴ入り商品を6月から投入している。

メルシャンでは甲類がPB効果で1~3月は前年同期比106%と好調。レモンサワーも効いたとみる。米焼酎「白水」では梅を入れた「おにぎりハイボール」が徐々に浸透。グループ協業でお茶割りの浸透も狙い、「白水のソーダ割り」と合わせた3本柱で勝負する。

アサヒビールは3月に「金黒」の紙パックとPETボトルを投入。合わせてWeb上でのオープンキャンペーンと購入者向けのクローズドキャンペーンを実施。混和「かのか」の昨年はおおむね前年並み。3月からは刷新品に順次切り替えている。「同 焙煎まろやか仕立て」も好評で、既存品とともに棚に並ぶという。今年は夏季限定品を初めて投入する。

サッポロビールの昨年の和酒実績は前年を上回った。業務用中心の甲類は好調。今年はフルーティーな香りが特徴という乙類「和ら麦」に注力。専用グラスに注ぎ、ワインのように香りを楽しむ「和ろまスタイル」を提案。また「からり芋香るハイボール」を通じて飲用機会の拡大を目指す。