緑茶飲料 働く女性に照準 世相を反映し大手各社

緑茶飲料市場で共働き世帯の増加など社会の急速な変化に対応した取り組みが顕著になっている。緑茶飲料は主に40~50代男性に支えられ飲料市場ではコーヒーに次ぐ2番目に大きなカテゴリー。市場規模は4千億円強。近年はトクホをはじめとする健康系の商品や抹茶入りといった嗜好性を高めた商品などが次々と発売されていることもあって数量・金額とも右肩上がりとなっている。

今年、女性の取り込みに本腰を入れたのは伊藤園。近年の有職女性の増加を受け、「働く女性から新しい飲用シーンが生まれようとしている」(社三雄専務取締役マーケティング本部長)との見方から、5月1日に「お~いお茶 新緑」を新発売した。その出足は好調で、「一般的に緑茶飲料は6対4の割合で男性が多いが『お~いお茶 新緑』は逆で女性が6割以上を占め、とくに20~30代が多い」(安田哲也緑茶ブランドグループブランドマネジャー)という。

中味は、働く女性が日常的に感じているストレスの発散に貢献すべく設計。リラックス・リフレッシュ・安眠などの効果が言われているテアニンに着目し、二番茶や三番茶と比べてテアニン、アミノ酸量がとくに多く含まれる国産一番茶を100%使用している。

既存品では「お~いお茶 ほうじ茶」で女性層の取り込みに成功。同商品は主に40代以上の女性に支持され「お~いお茶」ブランドの中では最も高い伸長率で好調を維持している。

コカ・コーラシステムは昨年、「綾鷹」の派生商品として発売した「綾鷹 にごりほのか」が女性や緑茶ノン・ライトユーザーを獲得。今年はこの「にごりほのか」をさらに改善させた形で、茶葉本来の甘みを強調した「茶葉のあまみ」を2月に発売したところ、「ものすごく売れており、女性にも楽しんでもらえていると思う」(日本コカ・コーラの小林香予マーケティング本部ティーカテゴリーバイスプレジデント)。

「こころに、お茶を」をテーマに掲げ情緒に訴えるのはサントリー食品インターナショナルの「伊右衛門」本体(緑茶)。このテーマについて、ジャパン事業本部ブランド開発第一事業部の佐藤匡氏は「昨年、売上げは伸びたものの、品質訴求に偏り過ぎてしまった。お客さまの声を聞くと、品質に加えて、淹れたお茶を飲んだ時の“ほっと”する気持ちが重要であると感じられた」と説明した。

消費者がお茶で“ほっと”する気持ちを求める背景については「少子高齢化社会やAIの台頭、デジタル進化、共働き家庭の増加など社会の流れが急速に早くなっている。それによって理想と現実のギャップを目の当たりにする機会が増え、こころにざわつきを抱える人が多くなっているのではないか」とみている。

キリンビバレッジの「生茶」は「今までお茶を飲むシーンではないと思われていたシーンでもおいしいと感じてもらい、お茶自体が新しいものという印象を与えていきたい」(川口尊男マーケティング本部マーケティング部商品担当主任)との考えから、生活シーンを描いた広告を一貫して展開している。

現在は、アウトドアを舞台にしたTVCM「生茶氷編」を放映。夏場も「普段意識していないシーンに、あえてお茶を登場させることで、お茶の楽しみ方の想像が広がるようにする」。

近年の緑茶飲料活性化の煽りを食っているアサヒ飲料のブレンド茶「十六茶」も今年、有職女性の増加や情緒面に着目。5月22日にリニューアル発売を行い、コミュニケーションターゲットを従来の30~40代の男女から子を持つ30代の有職女性に絞り込み情緒価値の訴求を強化して巻き返しを図っていく。